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ソックス単品でグローバルブランドに 「ハッピーソックス」 毎年70%成長の背景とは

 スウェーデン発「ハッピーソックス(HAPPY SOCKS)」が今年4月、設立10周年を迎えた。その名の通りソックスに特化したブランドで、現在約100カ国で100の単独店と1万2000店舗の卸先で販売。売上高が毎年約70%増と成長を続けており、2016年の売上高は1億ユーロ(約127億円)だった。2017年1月にイギリスの投資企業パラモン キャピタル パートナーズ(PALAMON CAPITAL PARTNERS 以下、パラモン)に7億2000万スウェーデンクローナ(約88億6300万円)で買収されて傘下に入り、さらなる事業拡大を図ろうとしている。10周年を記念に来日した「ハッピーソックス」の創業者で元最高経営責任者のミカエル・ソーデリン(Mikael Soderlindh)取締役とヴィクトール・テル(Viktor Tell)=クリエイティブ・ディレクター(CD)に成長の秘訣を聞いた。

WWD:ソックスに特化したブランドを始めた理由は?他の商材は考えなかった?

ヴィクトール・テル=ハッピーソックスCD(以下、テル):全ての人がはくソックスに誰も注目していなかった。だから、チャンスだと思った。毎日はくものだから、もっと愛情を注いでエモーショナルな価値を与え、ソックスを通して毎日ハッピーになれるようなブランドにしたかった。

ミカエル・ソーデリン取締役(以下、ソーデリン):スウェーデンでは日本同様に家の中で靴を脱ぐから、ソックスは大切。週末に友人宅を訪れる時はデザイン性の高いソックスをはきたいよね。ユニセックスでデザイン性の高いソックスはビジネスチャンスがあると思った。

WWD:グローバルなブランドにするために何をしたか?

ソーデリン:スウェーデンは小さな国。だからブランド設立当初からグローバルブランドにしようと考えていた。「ハッピーソックス」では、多くの人にアピールするデザイン性と品質の高さ、そして手に取りやすい価格を実現した。流通のネットワークも鍵だ。ソックスは百貨店で販売されていたけど、ギフトにぴったりだし、それとは異なる方法で販売しようと思った。だから、ブランド設立後2年間は見本市に出まくって35カ国のパートナーを見つけたよ。「ハッピーソックス」のコンセプトは世界中の人々に幸せをもたらすこと。ファッションだと人によって好みが違うけど、ソックスはある意味、何でもあり。だから全ての人にアピールできる。このコンセプトは誰にもコピーされないと思ったから、とにかくファッション業界のナンバーワン小売り業にするべく、まず行動に出たってわけさ。それがすぐに成功した。ソックスはほぼ全工程自動で生産できるから調整も簡単だ。僕ら2人で資金繰りをして段階を踏みつつ成長し、売上高は前年比平均70%増のペースで継続して伸びている。今では、約100カ国で100の単独店と約1万2000の卸先で販売しているよ。

テル:常に新しいアイデアを投入してきた。コラボレーションもたくさんしているし、成長する過程でアンダーウエアやスイムウエアなどカテゴリーも広げた。ファッション感度の高い女性をターゲットにした「ヒステリア(HYSTERIA)」という姉妹ブランドも始めたり、常にブランドとして発展し続けてきた。スウェーデンの本社には150人のスタッフを抱えるまでになったよ。

WWD:さまざまなソックスを作るためには素材の在庫を多く抱えることになりそうだが、どのような工夫をしているか?

ソーデリン:深刻な在庫問題は特にない。ソックスは他のファッションアイテムとは異なり季節性がないから、売れれば生産するし、在庫が多くなれば生産を調整すればいいから、コントロールしやすい。

WWD:売り上げトップ3の市場は?日本は何位か?

ソーデリン:1位がアメリカ、2位がドイツ、3位がオランダだ。オランダは小さな国だけど流通が素晴らしくいい。それにオランダ人はカラフルなものが好きだからね。日本は6位か7位。

WWD:すでに100カ国で販売しているが、今後の戦略は?

ソーデリン:売り上げ上位の市場全てで、単独店の出店を加速する。アメリカはニューヨークに2店舗、ロサンゼルスに1店舗あるが、10月にニューヨークのタイムズスクエアに出店し、ロサンゼルスにも2店舗目をオープン予定だ。売り上げ上位の市場にフォーカスすれば、他の市場もそれに伴い成長するはずだ。

テル:単独店の出店を通して「ハッピーソックス」の世界を作るんだ。“ハッピー”というエモーショナルな価値をソックスで表現することで、さまざまな人の個性に合うものを提供する。手に取りやすい価格帯でギフトに最適だし、気軽に楽しめるものだから。

WWD:メンズとウイメンズの割合は?ソックスとアンダーウエアやスイムウエアなどカテゴリー別の割合は?

ソーデリン:メンズが55%、ウイメンズが45%程度。ソックスが75%で、残りがその他のカテゴリー。

WWD:生産はどこで行っているのか?自社工場?下請け工場?

ソーデリン:トルコやペルー、イタリア、中国など15~20の下請け工場で生産している。トルコと中国に6~7年生産している主要工場が2~3ある。工場に関しては常に見直しているよ。

WWD:「ハッピーソックス」のブランド哲学をどのように消費者に伝えているか?

テル:ブランドの広告などは出していない。コラボレーションやストアなどを通して消費者にその世界観を伝えている。

WWD:ファッションにおけるソックスの役割は?

テル:全ての人々の生活の一部。ソックスという小さな物を通してその人の個性を表現したり、幸せな気分になるアクセサリー的なものだ。スーツにカラフルなソックスを合わせてアクセントを加えたり、それぞれの楽しみ方ができる。

WWD:パラモンの傘下に入った理由は?

ソーデリン:起業して9年間成長し続けてきた。継続的に成長し、安定化を図るためには自然な選択だった。投資企業が入ることで、もっと高度な経営ができる。われわれは25%の株式を保持しているから、もちろん話し合いながら経営しているよ。

WWD:これからどのように「ハッピーソックス」を成長させたいか?

ソーデリン:今までと同じ。店舗を通してショッピング体験を楽しいものにすると同時に、eコマースや卸などとの相乗効果を図っていきたい。