ニュース

15周年の伊勢丹メンズ館がリモデル キーワードは“一点物”と“パーソナルオーダー”

 伊勢丹新宿本店メンズ館が15周年を迎え、7階のオーセンティックカジュアルと地下1階の紳士靴売り場でリモデルし、19日にオープンした。三越伊勢丹グループが掲げる3カ年計画(2018~20年度)の一環で、第1期(18年秋~19年春)と第2期(19年度)に分けて実施する。

 7階の柴田信友オーセンティックカジュアル担当バイヤーが力を入れたのは、古着やアーティストの手描きによる一点物と一人一人の「欲しい」に寄り添うパーソナルオーダーだ。

 リモデルに際して、50~150年前のボロ(古布)をシグネチャー素材とする日本ブランド「クオン(KUON)」を初導入した。150万円のボロから、ボロをリメイクしたジャケット(10万~20万円)、ボロの端切れを縫い付けたTシャツ(1万~2万円)などをラインアップする。アーティストの西雄大がハンドペイントした、リモデル記念のTシャツやジャケットも販売する(1万~5万円)。ポップアップイベントなどで百貨店が古着を売ることは珍しくなくなったが、顧客には古着に抵抗のある層も多く、「百貨店の信頼」を背景にした新たな挑戦となる。

 クロージングの強化も7階リモデルの柱だ。リモデル記念企画として、「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)」がピックアップした同ブランドの古着をビンテージのミリタリーウエアと掛け合わせたアイテムをメンズ館限定で販売している。こちらも一点物でジャケットが5万円台から20万円、ニットキャップが1万円など。

 5階にあった「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」も7階に移動した。「“Made in USA”の魅力をしっかり伝えていきたい」という。こけら落としとして、22日から「オールデン(ALDEN)」製のペニーローファーを発売する。19年春夏には、米国ウオーターバリー(WATERBURY)社に特注した金ボタンも選べる、紺ブレのパーソナルオーダーを行う。「価格もセットアップで8万円から用意し、『ブルックス ブラザーズ』を着たことのない若年層にもアプローチしたい」という。

 柴田担当バイヤーは「15年前、メンズ館は“比較購買の場”だった。しかし、今はスマホが競合相手だ。そんな状況下で来店動機を高めるために一点物は有用。目指すのは“百貨店の中の非百貨店”だ。ただし、バイヤーの独りよがりではいけない。提案を続けて6年、売り場としてここまでは許容されるがここからはダメという境界線も分かった」と述べた。

 地下1階の紳士靴売り場では、メーンプライスが15万円以上のハイエンドコーナー内にシューズオーダーサロンを新設した。これまでもオーダーを受け付けるポップアップイベントの開催はあったが、リモデルにより常設となった。パターンオーダーは英国の「エドワードグリーン(EDWARD GREEN)」やイタリアの「エンツォ ボナフェ(ENZO BONAFE)」など9ブランドを、フルオーダーは「オーツカビスポーク(OTSUKA BESPOKE)」「クレマチス(CLEMATIS)」「ヨウヘイフクダ(YOHEI FUKUDA)」の日本の3ブランドを受け付ける。福田隆史・紳士靴担当バイヤーは「国内にこんな場所はないし、おそらく世界にもないだろう」と自信を見せる。パターンオーダー、フルオーダー共に価格は30万~50万円で、週に4~5件の受注を見込む。

 「世界最高峰のシューズを紹介する場として、紳士靴売り場は15年前にオープンした。しかし今は既成靴の限界を感じている。ステータス志向のお客さまの要望に応えるため、またこだわり派をオーダーの世界に取り込むためにもサロンは必要だった」という。現状、紳士靴売り場の売り上げに占めるオーダーの割合は1割以下だが、「これを2割にしたい」と続けた。

 また「サロンは作って終わりではない」という。サロンを中心にコミュニティーを形成し、「世界一の靴好きが集まる場を創造したい。その場で、お客さまから教えていただくことも多いだろう。百貨店の特徴は、たくさんのブランドを横断して見られることだ。百貨店、ブランド、顧客、それぞれの関係を深めたい」とし、ECにはない実店舗ならではの体験を提供する。

 シューズオーダーサロン以外では、ハイエンドコーナーで英国の「ガジアーノ&ガーリング(GAZIANO & GIRING)」とオーストリアの「サン クリスピン(SAINT CRISPIN'S)」の取り扱いを開始した。「いずれ『ガジアーノ&ガーリング』もオーダーできるようにしたい」という。またシューケアカウンターも設け、地下1階での靴の購入者はいつでも無料でシューシャインが受けられる。

 7階と地下1階、ウエアと靴でアプローチは異なるが、共通するのは“一点物”や“パーソナルオーダー”といったキーワードだ。両バイヤーとも「在庫を持たないビジネススキームにも魅力がある」とコメントした。新たな提案により、顧客にも選択肢が増えた。伊勢丹新宿本店は今後もメンズ館各階を順次リモデルし、本館についても時計、宝飾、化粧品、ラグジュアリー・ブランドを強化する。