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ポール・スミスが完全復帰 王道テーラーリングで一本勝負

 「ポール・スミス(PAUL SMITH)」の創業者で大株主のポール・スミスが同ブランドのクリエイティブ面の指揮を再び執る。同氏は15年に、ヘッド・オブ・メンズウエアだったサイモン・ホームズ(Simon Homes)をクリエイティブ・ディレクターに指名し、ブランドの刷新を図っていたが、この計画を白紙に戻した。「今、私はブランドのデザインの全ての面に携わっている。別の方法でもうまくいくかどうかみていたが、私のやり方で進めたほうがいいという結論に至った。昔のように、私が全てを監督しているよ。『ポール・スミス』の精神と美学は完全復活した。“ボス”が戻ったんだ」と、おもちゃやパンフレット、ファンからの贈り物であふれたポール・スミスの会議室で語った。この日ポールは、色落ちして柔らかくなった「ポール・スミス」のビンテージのデニムシャツと、英国のウール地のダークブルースーツに、「上品なスニーカー」と称するスニーカー風のレザーシューズを合わせていた。

 “ボス”が戻ったのは、デザインスタジオだけではないようだ。ポールは毎週土曜日、ロンドン・メイフェアのアルベマール通り店の店頭に立ち、社員と肩を並べて働いている。「毎週土曜日、アテネ、パリ、ミラノ、ビバリーヒルズ、東京、デンマークなど、世界中からこの店を訪れた人たちに会うことができるんだ。素晴らしいことだ」と話す。

  ポール・スミス グループ(PAUL SMITH GROUP以下、ポール・スミス)の2017年6月通期決算は売上高が前期比1.0%増の1億5917万ポンド(約243億円)、純損益は前期の483万ポンド(約7億3899万円)の黒字から137万ポンド(約2億961万円)の赤字に転落した。小売りの売上高は同8.5%増の5647万ポンド(約86億3900万円)、卸の売上高は同9.9%減の7990万ポンド(約122億2500万円)、ライセンスの売上高は同43.9%増の2216万ポンド(約33億9000万円)だった。

 日本では伊藤忠商事がマスターライセンシーで、メンズウエアはジョイックスコーポレーション、ウィメンズウエアはオンワード樫山がライセンス展開している。

 20年以上にわたって営業していたニューヨークのプレスオフィスを閉鎖し、リストラを行った他、多くのセカンドラインとデニムラインを統合し、「ポール・スミス」と「P.S ポール・スミス」の2つのブランドだけを残した。また、コレクションの発表都市をロンドンからパリに移し、男女合同ショーを開催するなど、今期は同社にとって変革の年だったようだが、同社にとって何より大きなニュースは、ポール・スミス創業者がクリエイティブ面の指揮を再び執ることになったことだ。