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倒産危機のボルサリーノが事業継続 オーナーが騒動の背景を語る

 イタリアのハットメーカー、ボルサリーノ(BORSALINO)の親会社で投資会社のヒエレス エクイタ(HAERES EQUITA)を創業したフィリップ・C・カンペリオ(Philippe C. Camperio)が、さまざまな諸問題はあるが、ブランドビジネスは継続することを明らかにした。ヒエレス エクイタは2015年12月、ボルサリーノが再生を目指し行った資本家探しの結果、親会社になった。その際、イタリア・アレッサンドリア州地裁に、税金さえ支払らわず取引先にも借金を重ねていたボルサリーノの債務に関する問題解決について、仲裁を要請した。12月中旬に浮上した破たんの恐れは、アレッサンドリア州地裁が、この問題解決の嘆願を却下したことによるものだ。

 ちなみに、旧経営陣による資本家探しには、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)や、最近「シュプリーム(SUPREME)」の株式の半数を取得した投資会社のカーライル(CARLYLE)、「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTUISSI)」や「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」に出資するネオ・キャピタル(NEO CAPITAL)なども興味を示したが、いずれも「規模の割に問題が複雑かつ根深い」と資本注入には至らなかったという。

 カンペリオ創業者は16年に1550万ユーロ(約20億6000万円)を投じ、債務の返済や新しい機械の購入などを起点とする再生計画をスタート。「不採算部門は整理。一方で新たな人材を登用している。特に営業とMDはチームを強化し、取締役会も刷新。利益の伴わない卸先とのビジネスは中止した」とカンペリオ創業者。少額ながら利益も出しているという。今年の売上高は、ほぼ前年並みの1750万ユーロ(約23億2000万円)の見込みだ。

 彼は、にもかかわらず裁判所が嘆願を却下したのは、地裁は競売に基づく再生計画を求めているからと分析。これについては、「現在のボルサリーノの資産には、我々が購入した設備などが含まれている」としており、地裁とヒエレス エクイタの意向は噛み合っていない。カンペリオ創業者は今年7月、銀行から1800万ユーロ(約23億9000万円)で「ボルサリーノ」というブランド名を使う権利を取得していると主張する。このため競売には反対し続ける意向で、裁判所には審理を再度依頼するようだ。

 MD改革や機械購入に伴う品質の向上で、「ボルサリーノ」はアメリカにおけるビジネスが好転し始めているという。NYのソーホーにオープン予定だったショップは、一連の法的問題で実現に至っていないが、北米ではバーニーズ ニューヨーク(BARNEY’S NEW YORK)やバーグドルフ グッドマン(BERGDORF GOODMAN)との取り引きが復活。カンペリオ創業者は「アメリカは巨大な市場。アジアへのオピニオンリーダーとしての役割も担っている」とする。現在半分をイタリアが占めるビジネスについては、今後5年で海外での売り上げを全体の6割まで高める意向だ。MDについては定番と季節的な商品がそれぞれ40%、カプセル・コレクションが10%程度が理想的なバランスと考える。ブランドの伝統を守りつつ、若い世代にもアプローチしたい考えで、18年には新たなオンラインストアを立ち上げる。

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