ビジネス

H&M傘下の新業態「アーケット」のコンセプトを深掘り! サステイナブル&ロングライフがポイント

 スウェーデン発のH&Mが今秋デビューさせる新業態「アーケット(ARKET)」は、人々の生活に長く寄り添うエッセンシャルなメンズ、ウィメンズ、キッズのウエアと生活雑貨、さらにはカフェを併設して展開する、ノルディックテイストのライフスタイルストアになる。デザイナー、建築家、バイヤー、シェフ、ライターなど130人にのぼるチームは、ストックホルムを拠点に、長年愛用できるような耐久性のある上質なモノ作りにまい進しているという。さらに、「アディダス(ADIDAS)」や「ナイキ(NIKE)」をはじめとしたスポーツアイテムや、日本の「ハリオ(HARIO)」や宇南山加子による「シュロ(SYURO)」の器など、セレクトアイテムを展開することも初めてわかった。そこで、スウェーデンの「アーケット」チームに、あらためて業態のコンセプトやそこに込めた思いなどをメールインタビューした。

WWDジャパン(以下、WWD):「アーケット」のネーミングには、どんな思いを込めたのか?

「アーケット」チーム(以下、アーケット):「アーケット」にはスウェーデン語で「一枚の紙」という意味があります。この新しいブランドを開発する際にわたしたちが感じていた、(白い一枚の紙に何でも自由に描けるような)クリエイティブの可能性・創造性を象徴しています。さらに、ブランドを築き上げる間に立ち返った、“アーカイブ(ARCHIVE)”“原型(ARCHETYPES)”“市場(MARKET)”といった多くのコンセプトにもつながっています。

WWD:北欧テイストを色濃く反映したコレクションになるようだが、あらためて「アーケット」が考える“ノルディック・ファッション”あるいは“ノルディック・デザイン”の特徴とは?

アーケット:私たちは、このブランドは、機能的で長く愛される、長く受け継がれるデザインという北欧の価値観に沿ったものであると信じています。さらに、「アーケットカフェ」は、ニュー・ノルディック・フード・マニフェスト(New Nordic Food Manifesto)が提唱する質の高い食材と健康的な生活のビジョンに基づいたものになります。

WWD:サステイナビリティ(持続可能性)、デュラビリティ(耐久性)、クオリティー(品質)をキーワードに掲げているが、それらはどんなところに反映されるのか?

アーケット:「アーケット」の使命は、品質を長持ちさせることと、良質に作られた製品を民主的な存在として幅広い顧客層が手に届きやすいものにすることです。私たちは、これらのアイデアをブランド全体に反映させることで、お客さまが長年にわたって使用することができる、長持ちする、耐久性のある商品にフォーカスしたブランドを創ることに努められると信じています。とくにサステイナビリティは「アーケット」ブランド開発において、何よりも優先して考慮されてきたことであり、すべてのプロセスに自然に組み込まれています。

WWD:商品構成の特徴は?

アーケット:私たちは毎日のユニフォーム(everyday uniform)のような商品をデザインしています。商品の範囲としては、アクセサリーやホーム用品を含むさまざまなカテゴリーも含めて、他社からの仕入れ商品も含めて、最良のセレクションで展開される予定です。アーカイブを大切にする発想もコレクションの出発点です。何度も何度も見つけたいと思うような商品の確かな基盤です。 商品は洗練されており、さまざまなニーズに合わせて多様な方法で組み合わせることができます。アパレルだけでなく、日々の生活のための幅広く、けれどもしっかりと厳選された商品を含めて、生活の多様な部分に対するソリューションをお客さまに提供したいと考えています。

WWD:価格帯も気になるが?

アーケット:高品質で耐久性のある商品をお求め安い価格で提供できるように、素材や技術を選択して開発するために、生産者やサプライヤーと緊密に協力してきました。商品の生産方法や使用された素材を反映した適正な価格帯になっています。

WWD:ロンドンから出店し、ブリュッセル、コペンハーゲン、ミュンヘンへと店舗網を広げると聞いている。日本にはいつ1号店ができるか?

アーケット:ロンドンで1号店を立ち上げるのと同時に、ヨーロッパ18カ国でオンラインストアを展開します。私たちは今、ヨーロッパでブランドを立ち上げることに注力しており、現段階では、ヨーロッパ以外の市場についてのスケジュールは未定です。

WWD:ロンドンのリージェントストリートに出店する1号店の店舗サイズと、今後出店する際の理想の店舗規模は?

アーケット:店舗は約1000平方メートルを想定しています。私たちの幅広い商品展開を考えると、メンズ、ウィメンズ、チルドレン、そしてホーム向けのコレクションを展示するだけでなく、お客さまが楽しむためのスペースとしてカフェを展開するために、大きなスペースが必要となってくるのです。

WWD:店舗はどのようなストアデザインになりますか?

アーケット:店舗の開発段階では、私たちはとても合理的で理にかなった、かつ、体系的なシステムであると感じたアーカイブのアイデアに立ち返りました。わたしたちは「呼吸したくなる空気」のある場所で、寛大な気持ちを感じる空間を作り、現代のショッピングサービスに新しい何かをもたらしたいと考えています。店のコンセプトについてはもっと多くの語れることがありますが、8月上旬に1号店をオープンするまでは、秘密にしてさせていただいたほうが良いかと!

関連タグの最新記事

インタビューの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

アパレル業界“裏方”の進化に迫る 「OEM・ODM特集」

アパレルは、彼らをなくして語れないー。そう言い切れるほど、企画・生産において重要な働きをするのがOEM(相手先ブランドの生産)とODM(相手先ブランドの企画・生産)の事業者たちです。繊維商社が巨大プレーヤーとして君臨しながら、中小の専門企業も独自の存在価値を発揮し、生き残っています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。