H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)の2024年11月期決算は、売上高が前期比0.7%減の2344億7800万スウェーデンクローナ(約3兆2826億円)、営業利益は同19.0%増の173億600万スウェーデンクローナ(約2422億円)、純利益は同32.9%増の115億8400万スウェーデンクローナ(約1621億円)だった。
営業利益率は前年の6.2%から7.4%とやや改善したものの、同社が目指すとしている10%以上にはまだ遠い。なお、純利益の大幅増は、23年5月に国際財務報告基準の法人所得税に関する項目が改訂されたことに伴い、23年度の繰延税金を調整した影響による。
地域別での売上高は、本拠地であるスウェーデンを含む欧州・アフリカは同1.2%増の1540億6000万スウェーデンクローナ(約2兆1568億円)と微増だったものの、アジア・オセアニアは同4.4%減の286億1900万スウェーデンクローナ(約4006億円)、南北アメリカは同3.7%減の517億9900万スウェーデンクローナ(約7251億円)だった。なお、売り上げ全体に占めるECの割合は30%程度だった。
24年1月から同社を率いるダニエル・エルヴェール(Daniel Erver)社長兼最高経営責任者(CEO)は、「当社は正しい方向に進んでいると自信を持っている。中核事業に集中しつつ、引き続きコストおよび組織の効率化、サプライチェーンの最適化、需給バランスの正確性の改善などを推し進めていく」と語った。
なお、ホリデーシーズンを含む24年12月~25年1月の売り上げは、現地通貨ベースで前年同期比4%増と堅調だった。
事業の合理化を推進
現在、同社の主力ブランド「H&M」は世界80カ国でおよそ3700店を運営。ほかに「コス(COS)」「アンド アザー ストーリーズ(& OTHER STORIES)」「モンキ(MONKI)」「ウィークデイ(WEEKDAY)」「チープマンデー(CHEAP MONDAY)」「アーケット(ARKET)」「H&M ホーム(H&M HOME)」を展開している。
同社は昨今の精彩を欠いた業績の要因として、マクロ経済の悪化、調達などに関するコストの高騰、消費意欲の減退があると分析。その対応策の一環として「モンキ」の販売網を「ウィークデイ」と統合し、オフプライスのマーケットプレイス、アファウンド(AFOUND)を終了するなど、事業の合理化を進めている。また、需要により迅速に対応し、輸送費を削減するべく、生産拠点をより消費地に近い地域に移転する“ニアショアリング(near-shoring)”にも取り組んでいるという。