リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS以下、リーバイス)の2024年11月期決算は、売上高が前期比2.9%増の63億5530万ドル(約9850億円)、営業利益は同25.2%減の2億6410万ドル(約409億円)、純利益は同15.6%減の2億1060万ドル(約326億円)だった。営業利益と純利益の大幅な減少には、人員削減に関連した費用や資産の減損処理などが影響している。
地域別での売上高は、南北アメリカが同3.7%増の32億60万ドル(約4960億円)、欧州は同2.4%増の16億1790万ドル(約2507億円)、アジアは同2.1%増の10億8240万ドル(約1677億円)だった。販売チャネル別で見ると、卸の売上高が同3.4%減の34億3150万ドル(約5318億円)、小売は同11.3%増の29億2380万ドル(約4531億円)だった。
なお、24年9〜11月期(第4四半期)の売上高は、前年同期比12.0%増の18億3970万ドル(約2851億円)、営業利益は同40.3%増の2億1220万ドル(約328億円)、純利益は同44.0%増の1億8260万ドル(約283億円)と非常に好調だった。
利益率の低い事業から撤退し本業に注力
24年1月に就任したミシェル・ガス(Michelle Gass)社長兼最高経営責任者(CEO)の指揮の下、同社は同年2月、2年にわたる生産性向上計画の一環として、上半期に本社人員の10~15%(500~750人)の削減を発表。4月には利益率が低かったカジュアルライン“デニゼン(DENIZEN)”とフットウエア事業の終了を、10月には傘下ブランド「ドッカーズ(DOCKERS)」の売却先を探していることを明らかにした。こうして非中核事業を整理する一方で、「リーバイス(LEVI'S)」ブランドのさらなる開発に注力し、ウィメンズの強化に取り組んだことが奏功した。
同氏は、「利益率の低い事業から撤退し、ブランド強化に注力したことで、さらに盤石な会社となった。小売と卸のバランスも取れており、改革がしっかりと業績に結び付いている」と語った。
トランプ大統領による関税引き上げへの対策は?
自ら“関税男”を名乗るドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の就任により、米国のアパレルおよび小売業界は関税の引き上げを警戒している。ガス社長兼CEOはこれについて、「当社は現在、世界の25カ国以上から幅広く調達している。また、(トランプ大統領が関税の引き上げ対象として名指しした)中国からの調達は全体の1%未満、メキシコは5%程度と比較的少ない」と説明。「当社の準備は整っている」と懸念の払拭に努めた。
同氏はまた、25年の業績は既存事業ベースで3.5〜4.5%の成長を見込んでいると述べた。しかし、これがアナリスト予想をやや下回っていたことから、同社の株価は決算発表当日の1月29日の時間外取引で、一時は前日比5.8%安の17.29ドル(約2679円)となった。