東急プラザ表参道“オモカド”の3階に韓国発の「ザ・ヒョンデ(THE HYUNDAI)」がオープンした。約660平方メートルのエリア内に、7つの常設テナントが入っている。神宮前交差点付近を歩くと、ショッパーを持ち歩く人の姿も見かけるようになった。「ザ・ヒョンデ」とは一体どのような店なのか。
「ザ・ヒョンデ」は2021年、ソウルに1号店をオープンした。延床面積は8万9100平方メートル。年間で7000万人が来店する。
運営する現代百貨店は、ロッテ百貨店や新世界百貨店と並び、韓国の3大デパートと称される。「ヒョンデ」は韓国語で「現代」を意味するが、その名は単に企業名を指すだけではない。ミッションに「この世にないものを作る」を掲げたように、“新しい時代の百貨店”を指している。
「ザ・ヒョンデ」が描く新しさは、ソウルの1号店に入れば分かる。空間をダイナミックに走る建物の構造と、それを彩る緑の多さに目が行く。約20メートルの高さにあるガラスから自然光が降り注ぐ中、人々は緑地で憩いの時間を過ごしている。“モノを売る場所”である日本の百貨店とは異なり、物販以外に当てるスペースが広いのが「ザ・ヒョンデ ソウル」の特徴だ。屋上に出れば3300平方メートルの庭園や芝生が広がり、店内を歩けば約12メートルの高さの人工滝さえある。
代表から言われた
「私の知らないブランドを集めてほしい」
出店ブランドも新しい。地下2階の「マーティンキム(MATIN KIM)」や「ディスイズネバーザット(THISISNEVERTHAT)」は、21年当時どの百貨店にも入っていなかった。地下2階のブランドを誘致したグローバルチームのパク・ドンヨン=チーム長は「代表から『このフロアは私の知らないブランドだけを集めてほしい』と言われた」と明かす。「ソウルはトレンドの移り変わりが早く、変化に富んだ都市。そのような消費者のニーズを反映した」。
このフロアが若年層から支持を集めている。一般的な百貨店の顧客層が40〜60代と言われている中、「ザ・ヒョンデ ソウル」には20〜30代が訪れる。
「“百貨店”と言われれば、思い付くイメージがあるだろう。それは日本でもフランスでもある程度変わらないはず。そんな中『ザ・ヒョンデ』だけは違うのではないか」。
渋谷パルコと“オモカド”
2つの施設と2つの狙い
「ザ・ヒョンデ」の日本1号店は渋谷パルコに出店した。一部で「ザ・ヒョンデ」は“韓国の渋谷パルコ”と呼ばれているほど、互いにカルチャーの発信地として知られている。パルコと現代百貨店は24年、戦略的協業に関する基本合意を締結しており、渋谷パルコでポップアップを重ねるなど、下地を整えた上でのオープンだった。
渋谷パルコ店と“オモカド”店はそれぞれ役割がある。渋谷パルコ店は1〜2週間ごとに顔ぶれが変わり、常設のブランドはない。店舗面積も25平方メートルと限られている。新進気鋭ブランドが上陸する店として、パクチーム長は渋谷パルコ店を「日本における初舞台」と表現した。
一方、“オモカド”店は、渋谷パルコ店での“初舞台”が好感触だったブランドをピックアップした。「コイセイオ 038(COYSEIO 038)」「ロラロラ(ROLAROLA)」「スタンドオイル(STAND OIL)」「ヒエタ(HIETA)」がそれに当たる。コンセプトをさらに磨き上げ、ブランドの世界観を表現していく。
ブランドにとっての旨味
「ザ・ヒョンデ」へ出店するワケ
「スタンド オイル」や「コイセイオ 038」のメインラインである「コイセイオ」は、日本に単独店もオープンできるほど国内外で支持を集めている。しかし、依然として「ザ・ヒョンデ」への出店へ積極的なのは、新たな顧客との接点として機能しているから。「ザ・ヒョンデ」は、日本だけでなく、台湾やフランスでポップアップを開催するなど、グローバルなネットワークを持つ。
さらに、セレブリティーの起用も魅力だろう。“オモカド”店のオープンでも、韓国のボーイズグループTWSをはじめとした登壇者を招いた。「TWSで『ザ・ヒョンデ』を知った人が『スタンドオイル』で買い物する。隣の『ロラロラ』でこれも買いたいと思う。そんなブランド間のシナジーが確実に存在する」。さらにフロアを半周すれば、彼ら韓国アーティストのグッズを扱う「ウィズミュー(WITHMUU)」にも行き着く。入り口はファッションにもアーティストにもなる。各テナントが一体となって、「ザ・ヒョンデ」ににぎわいをもたらす。