(右)本橋涼介/ヘッドリポーター:目黒にあるHUMAN MADE本社を訪れた際にはアトリウムの壮観さにビックリ。ランチタイムで立ち寄った蕎麦店「小菅」は個人的な隠れ名店に認定 ILLUSTRATION : UCA
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年9月7日号からの抜粋です)
本橋:昨年10月にHUMAN MADEが上場するというニュースが飛び込んできて、正直驚きました。上場に際しての開示資料などを見ると、営業利益率か非常に高くてこれまたビックリ。人気ブランドというだけでなく、ビジネスとして合理的な形も作っていたんです。パブリックな企業となることで、ストリートを超えて、1つのカルチャーを作ろうとしていることも踏まえて、今回の特集を企画しました。村上さんはもともとどんな印象でしたか?
ノーウェアでの
失敗が生きている
村上:単純に、「きっと、すごく売れているな」と。特にここ最近はスゴい。でも、取材してみるとそもそも上場を前提に創業しています。CFOの柳澤純一さんはコンサル畑の出身で、NIGO®さんとはノーウェア時代からの付き合い。年商1500億円規模の会社になることを前提に、「粗利益率はこれくらい」「こういう人材が必要」と緻密にビジネスを逆算し、実行していたんです。ストリートブランドで、ここまで経営を考えている会社は珍しいと思います。
本橋:HUMAN MADEは、もっと売り上げを伸ばそうと思えばできるはずなんです。でも、一時的なバズを狙わない。これまでのストリートブランドは、ブームを作って一気に売り、その後に衰退してしまうケースも多かった。それを避けるために成長率や営業利益、収益性、効率性などをコントロールし、利益を海外進出や人材獲得などの成長投資に回している。経営陣にも、ユニクロの「UT」を手掛けた松沼礼CEOや、サンリオ出身の鳩山玲人CSOら、バックグラウンドが異なる人材が集まっています。
自分のブランドを
託す覚悟
村上:NIGO®さんの人脈が大きいのでしょうね。彼らと過去に仕事をしてきたからこそ、「一緒にやらない?」と声をかけられる。「ヒューマンメイド」は、「ア ベイシング エイプ®」の失敗からの学びが生かされています。ビジネスを担う人材がいなかったことを反省し、最初から経営ができる人を入れているんです。
本橋:自分で立ち上げたブランドの経営を、あえて3人に託す。NIGO®さんの覚悟を感じます。
村上:優秀な経営者が入れば、日本のブランドはもっと強く、もっと稼げると思います。「CFCL」もそうですが、異なる畑から客観的にビジネスを分析できる人を迎え、その人に権限を渡すことが重要。まだまだデザイナー自身が社長を務めるケースが多い日本のファッション業界にとっては、HUMAN MADEも長続きするブランドビジネスを考える、1つのモデルになりそうです。
