ウルトラファストファッションの「シーイン(SHEIN)」は8月24日、香港証券取引所に9月1日に新規上場する予定であることを発表した。1株あたり47.60〜49.50香港ドル(約952〜990円)の公開価格(仮条件)で2億8000万株を売り出し、最大138億6000万香港ドル(約2772億円)の資金調達を目指す。価格は31日に決定する。
仮条件の上限での企業評価額はおよそ270億ドル(約4兆2660億円)となり、2022年の調達ラウンド(シリーズD)の際の約980億ドル(約15兆4840億円)を大幅に下回ることとなる。ロイター(REUTERS)は7月に関係者の話として、「シーイン」は400億~500億ドル(約6兆3200億〜7兆9000億円)の評価額を得たいようだと報じていた。
なお目論見書によれば、同社の株式33%を保有するクリス・シュー(Chris Xu)創業者の経営権を維持するため、議決権の重みが異なる2種類の株式を発行する二重議決権株式構造を採用するという。
欧米市場の規制強化で減速
「シーイン」は12年に中国・南京で設立し、15年に広東省広州市に移転。22年には本社をシンガポールに移したが、サプライチェーンの大半は現在も広州市にある。豊富な商品ラインアップを圧倒的な低価格で販売し若年層を中心に人気を集める一方で、著作権侵害などによる訴訟トラブルをいくつも抱え、サプライチェーンにおける劣悪な労働環境への懸念が絶えない。
こうしたことを背景に、米国や欧州では少額輸入品に対する関税免除措置(デミニミス免除)を撤廃するなど、「シーイン」や「ティームー(TEMU)」を狙い撃ちにした規制を施行。その影響もあり、これまで急成長を続けてきた「シーイン」の25年度の売上高は前期比8%増の418億ドル(約6兆6044億円)、純利益は同38.7%減のおよそ20億6000万ドル(約3254億円)と大幅に減速。26年1〜3月期(第1四半期)の売上高は前年同期比1.1%増の90億5000万ドル(約1兆4299億円)、純損益は前年同期の3億9500万ドル(約624億円)の黒字から9900万ドル(約156億円)の赤字に転落している。
“三度目の正直”となった香港での上場
「シーイン」は以前から上場を目指しており、23年にはニューヨーク、24年にはロンドンの証券取引所への上場を申請した。しかし前者は米中対立、後者は中国当局による横槍もあって難航。その後、目標を香港証券取引所に切り替え、7月10日には中国証券監督管理委員会(China Securities Regulatory Commission)が上場を承認した。