日本の美容産業「Jビューティ」が国の成長戦略に位置付けられた。世界では韓国の「Kビューティ」が存在感を高め、日本との化粧品輸出額には約3倍の開きがある。韓国は海外展開を国家戦略として推進してきたが、その競争力は政策だけで築かれたものではない。Jビューティが世界で存在感を高めるには、その根本を見つめ直す必要がある。(この記事は「WWDJAPAN」2026年7月27日号からの抜粋です)
「Jビューティ」の競争力をどう高めるかが化粧品業界の大きなテーマとなっている。世界市場ではKビューティ(韓国コスメ)が存在感を高め、日本市場でも定着した。一方、日本企業は高い研究開発力を持ちながら、その強みを十分に世界市場で競争力へ結び付けられていない。韓国市場を分析すると、その差は商品力だけでは説明できない。
アイスタイル傘下で日本と韓国の双方でブランドの海外展開を支援するグロウデイズ(Glowdayz)のコン・ジュンシック(Kong Junesik)CEOは「Kビューティの成長は個々のブランドの力だけで生まれたものではない」と話す。ブランドを育てる市場の仕組みや、韓国市場から見た日本化粧品の強みと課題を探ることは、Jビューティが世界で存在感を高めるための条件を考える手掛かりになる。
韓国の化粧品市場ではOEM・ODMの生産基盤が発達し、オンライン流通が販売の中心を担っている。市場参入の障壁が比較的低く、ブランドは実店舗の販路を開拓しなくても商品を販売できる。消費者の反応を見ながら商品や販促を短期間で見直せるため、市場投入から改善までのサイクルが速く、新商品が次々と生まれている。
一方、日本では百貨店やドラッグストアなどオフライン流通の比重が大きく、ブランドは営業活動を通じて販路を築く必要がある。商品の販売には一定の販路づくりが必要で、市場への参入スピードは韓国とは異なる。こうした違いは競争の質にも表れる。韓国では参入しやすい分、多くのブランドが同じ市場で競争する。同じOEM・ODMで生産された機能や処方が近い商品も少なくなく、商品だけで差別化することは難しい。そのため、「どうすれば消費者の目に留まるか」「どう見せれば試してみたいと思ってもらえるか」といった売り方や商品の見せ方が競争力を左右するようになった。パッケージや発信方法、話題のつくり方まで含めて商品を設計してきたことが、Kビューティが「マーケティングに強い産業」と評価される背景にあるという。
市場規模の違いがブランドの育て方を変えた
ジュンシックCEOは「日本と韓国の化粧品を比べれば、私は日本の商品の方が優れていると答える」と話す。
日本企業は高い研究開発力を背景に、完成度の高い商品でも改良を重ね、機能や品質を磨き続けてきた。一方で、「一般消費者が、そこまで圧倒的に優れた商品を求めているのかを考える必要がある」とも指摘する。現在の化粧品は全体として一定の品質水準に達しており、研究者には分かる性能差であっても、一般消費者が明確に認識することは難しいという。
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