
繊維商社は変わりつつある。円安、原燃料高、物流費の高騰、日本のアパレル市場の縮小—変化を強いる外部環境を挙げればきりがないが、この数年の変化はもっと根深い。いわば「質的変化」だ。それを端的に言い表していたのが、人事畑の長いモリリンの森俊輔社長の言葉だった。「当社は以前から文系・理系、体育会系など幅広く人材を採用してきた。今のような変化の激しい時代に組織として対応できているのは、こうした採用方針が功を奏していると受け止めている」。(この記事は「WWDJAPAN」2026年6月29日号からの抜粋です)
「トレードから事業投資」「働き方改革」の真意
かつて繊維商社は、「体育会系」「モーレツ」という言葉がぴったり来る人たちであふれていた。課長が大きな権限を持ち、現場はハンコリレーをせずとも、課長がOKを出せば大抵のプロジェクトが現場単位で動いた。猪突猛進型の人材と、現場の自由度の高さを支える仕組み。それが総合商社にもまねできない活気と機動力を生み、成長を支えた。こうした体質は変化に強く、ファッションとの相性も良かった。2000年代、大型ショッピングセンターが全国で急増し、多彩なブランドが猛烈な勢いで店舗を増やすのと同時に、衣料品の企画・製造のアウトソーシングが進んだ背景には、多種多彩なアイテムをOEM・ODM供給できる繊維商社の存在があった。対抗を迫られた総合商社も、伊藤忠商事を除き本体からOEM・ODMを切り離した。だが、アパレル企業の企画・生産機能の外注化は、企画力の地盤沈下と野放図な海外生産の拡大を招く。今や繊維商社の方がアパレル企業より多くのデザイナーやパタンナー、生産管理者を抱え、日本に流通するアパレルの海外生産比率は98%超と、もはや限界を突破している。
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