就活は、企業が学生を選ぶ場だった。しかし人材不足が嘆かれる現代、学生もまた選ぶ立場にある。働き方やキャリアが多様化する中で、企業文化に合わなければ自然と退職の選択肢が出てくる。ゆえに、採用段階での対話の重要性が増している。しかし学生はAIを使う。提出されたもの、話しているものが、その人の言葉でないことも珍しくなくなった。そんな時代において、人事は学生のどこをみているのか。繊維商社6社の採用担当者に集まってもらい、ざっくばらんに語ってもらった。(この記事は「WWDJAPAN」2026年6月29日号からの抜粋です)
WWD:就活におけるここ数年の変化は。エントリーシート(以下、ES)や面接では、学生のどのようなところを見ているのか。
蝶理岡山:3、4年ほど前、初めて新卒採用を担当したときは、コロナ禍だったため、留学したかったけど、できなかった学生が多かった。グローバル志向の人材を求めている中で、こちらも相性の良い学生を見つけにくかった。今の学生は、留学やバックパッカーなど、海外と関われている。
豊島江河:私も岡山さんと同じ時期に採用担当になった。お話しされていることにはほぼ同意。その上で別の視点を加えるなら、AI。皆さん“良いこと”は言えるようになってきている。だからこそ、自分の言葉で経験や価値観を伝えられる学生に魅力を感じる。ESはどうしても提出してもらう必要があるが、対面での接点も同じくらい大切にしている。ESと面接の内容に、一貫性や整合性があるかを見ている。
ヤギ山岡:会社が選ぶのではなく、学生が選ぶようになっている。ここ数年で最も変わったことだと思う。私たちも、評価するというより、その人の良いところを引き出す立場になっている。
スタイレム齋藤:私たちは一次面接から対面にすることで、素の状態を引き出そうとしている。面接枠を広げて、可能な限りはスケジュールを調整している。来年以降はオリジナリティーのある課題を出そうかなと考えている。
ヤギ山岡:(選考フローでの受け答えに)答えがあると勘違いされがち。学生は人事が喜びそうなエピソードを書いたり、発言したりする。もちろん評価基準はあるが、学生ごとにアプローチを変えないと、本質が見えてこない。
WWD:採用にかける時間もコストも上がっているのか。
ヤギ山岡:スクリーニング(一定の基準で候補者を選ぶこと。能力テストなど)が増えてきたため、振り落とすことも増えていると思う。会う学生の数自体は変わっていないのでは。
豊島江河:就活が長期化・早期化している影響なのか、熱量の高い学生は積極的にインターンシップにエントリーしている印象がある。そのため、4月の本選考期に本エントリーする学生の数は、以前より減っていると感じる。
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