バーチャルヒューマンのimmaなどを手掛けるアウ(Aww)が、対話型AIエージェント「HITO」の提供を開始した。このサービスでは、バーチャルヒューマンがリアルタイムの音声AIで来訪者と会話し、施設案内や多言語接客、質問対応などを行う。
ビジュアル設計も可能
ブランドの“顔”になるバーチャルヒューマン
「コーチ(COACH)」などのキャンペーンにも数多く起用され、世界的に認知を拡大しているimmaを始め、数々のバーチャルヒューマンやVTuberを手掛けてきたアウの強みは、そのプロデュース力。「HITO」ではビジュアルや話し方、表情、キャラクター性までもデザインすることが可能で、企業や施設、ブランドの看板となるバーチャルヒューマンを提供する。
AIチャットボットサービスとは何が違うのか?
現在多くの企業が自動応答のチャットボットサービスを取り入れているが、「HITO」が強みとするのは「顔があること」。ビジュアルと人格を持つバーチャルヒューマンが対応することにより、来訪者は「またこの人だ」と安心感を抱き、ブランドの顔として認識する。
ブランドの顔として認識される、つまりはインフルエンサーのような活用方法も可能だ。例えば、受付で接客するバーチャルヒューマンを、企業の公式WebサイトやSNSにも登場させ、ストーリーテリングを行うなど、1人のバーチャルヒューマンが何役も担うことができる。
コンセプトは「採用せずにチームを増やす」
最大15言語に対応しオフライン環境をスマート化
現在イメージする使用環境は、交通機関やホテル、商業施設、医療機関など、対面接客を必要とする環境だ。接客を必要とするファッション、ビューティ業界も視野に入れ、実際に昨年は原宿のコーチ プレイでimmaがバーチャル接客を行うサービスを期間限定で提供した。
8人のimmaがコーチ プレイをジャック! ストアでのAI接客も実施
止まらない人手不足と訪日客の増加は、昨今の接客業において大きな課題だ。「HITO」では日本語、英語、中国語をベースに最大15言語に対応し、来訪者が話した言語を自動判別して返答する。レスポンスの速さにも磨きをかけ、ASR(音声認識)、LLM(大規模言語モデル)、TTS(音声合成)が連動し、話しかけると最短0.85秒、平均1〜2秒で返事をするという。
また、全ての対話は自動データとして蓄積され「いつ、何を、何語で、どう聞いてきたか」というリアルな顧客インサイトが蓄積されることで、現場稼働と同時に将来の自社専用AI育成のための対話データ基盤にもなる。
日本はAI利用先進国になれるのか?
アウのストラテジーリードを担う光井宏平氏は、自身のnoteで「日本はAI利用先進国になれるポテンシャルを持っている」と語っている。その理由として、AIが解決し得る課題(この場合は、特に言語の壁や人手不足の問題)を持つ「課題先進国」であることと、「全てのものに魂が宿る」というアニミズムの文化が根付いていることを挙げた。
引用元:採用しない採用。対話型AIエージェントとフィジカルDXの可能性
確かに、従来から日本人は自然の中に神を感じたりもするし、画面や紙面越しのキャラクターにパーソナリティーを感じるIP産業も活発だ。もし「HITO」のようなサービスが人々にとって身近になれば、ディズニーやサンリオ、ポケモンなど、既にパーソナリティが認知されている既存のIPが施設スタッフとして働くこともできるだろう。今ファッション、ビューティ業界で主流の「ブランド×キャラクター」のコラボレーションに関しても、消費者に対するアプローチの幅がぐっと広まるかもしれない。
一方で、「試着を行い、その人の体に合う適切なサイズを提案する」「実際にメイクを施す」など、ファッションやビューティ業界ではフィジカルな対応を行う現場も多い。今後AIサービスが発展した時に、どの作業をAIが、どの作業を人間が担うべきか、企業の判断力が問われるだろう。