
中国発のヒューマノイド(人型)ロボットの発展が目覚ましい。中国版紅白歌合戦にロボットダンサーが登場したり、ロボット運動会の開催や華麗なカンフーアクションを繰り出す動画などがSNSで話題になっている。実際、中国発の人型ロボットの実力は、どの水準にまで達しているのか、日本企業はどのタイミングで導入を検討すきだろうか。なぜ中国企業がここまで成長しているのか。中国ロボットのスタートアップで最も注目を集めるガルボット(Galbot=銀河通用機器人)の共同創業者ワン・フー(王鶴)CTO(最高技術責任者)に独占インタビューを行った。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月27日号から抜粋・加筆しています。無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
PROFILE: 王鶴(ワン・フー)Galbot(銀河通用機器人)CTO

創業者のワンCTOは中国・清華大学を卒業後に米国に留学し、スタンフォード大学で博士号を取得。現在は北京大学フロンティア・コンピューター研究センターの助理教授(日本の大学での准教授に相当)を務める。エンボディドAI(ロボットとして物理的な身体を持つことで現実世界を認識し動作を行えるAI)のトップ研究者である。
ガルボットは2023年5月創業のスタートアップながら、すでに24億元(約480億円)の資金を調達している。昨年発表されたロボット「ガルボット G1」は車両の上に人間が乗ったような姿。手先の器用さは定評があり、すでに無人薬局などでの導入が始まったという。
中国のロボット産業が強いワケ

――中国ロボット産業はなぜこれほど急速に発展しているのか?
ワン・フーCTO(以下、ワン): 2つの理由がある。第一にサプライチェーン。ロボットに必要な関節モジュール、減速機、モーター、各種センサーを中国は自国で生産しており、企業は迅速かつ低コストに調達できるため、スピーディーに試行錯誤を繰り返せる。
第二にAIの発展だ。産業用ロボットとは異なり、ヒューマノイドロボットはAI技術に依拠している。中国企業が強いロボット掃除機などのプロダクトが発展する過程で、SLAM(自己位置推定と地図作成)やアルゴリズムなど技術、そして開発するための人材が蓄積された。また、この分野の先端研究で、中国は世界のトップ集団に位置していることも大きい。
――サプライチェーンと人材という2つの要素はロボットに限らず、ドローン、アクションカメラ、EV(電気自動車)など、さまざまなハイテク・ハードウェア製品における中国の勝ちパターンとなっている。こうしたイノベーションは企業が主導しているイメージだったが、AIやロボットでは大学の存在感が大きい。
ワン:ロボットのハードウェアは今も企業が強い。ただ、エンボディドAIは米国でも2018年ごろから注目されだした新しい技術であり、企業にも蓄積がない。現在のトレンドは大学の研究者によるスタートアップ企業の設立だ。中国の著名なエンボディドAI研究者はほとんどが企業を立ち上げている。
――「ガルボット」はまさに典型例だ。中国には多くの企業がある中で、ガルボットの優位性とは?
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