ユニクロは、2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピック・パラリンピック大会に出場するスウェーデン代表選手団の公式ウエアを提供することを発表した。10月3日には同じ高機能素材を用いた一般向けコレクション「ユニクロ × スウェーデン アスリート コレクション(UNIQLO × SWEDEN ATHLETE COLLECTION)」を発売した。
スウェーデンオリンピック委員会とのパートナーシップは2019年に締結され、東京大会以降は今回で4大会連続となる。これまで同様、着心地を追求した“高品質”と選手のパフォーマンス力を高める“革新性”、環境先進国であるスウェーデンに学ぶ“サステナビリティ”を軸に、今回は特に冬季競技特有の寒さや体温調整に対応した機能性とリサイクル素材の活用拡大に取り組んだ。
ウエアは、吸湿発熱・保温機能を備える“ヒートテック”や軽量で暖かい高機能中綿“パフテック”といったオリジナル素材に加え、防水透湿性と低結露性を誇る東レの“ダーミザクス(Dermizax)”を初採用。表面が濡れても、内側で汗をかいても不快なく着やすいよう、フリースなど複数の素材を切り替えるなどし、機能性と快適性を兼ね備えた一枚を追求した。
全体の約92%に環境配慮素材を採用
公式ウエア全体のうち、温室効果ガス排出量の少ない素材の比率は、2022年北京大会の約33%から42%に増加。特に“パフテック”には、ユニクロで初めてリサイクルポリエステルを50%使用した。ダウンパーカはこれに加え、店舗で回収したリサイクルダウンを組み合わせ、機能面も高めた。この他にファスナーや縫製糸にもリサイクル素材を取り入れた結果、公式ウエア全体の約92%に低炭素素材を採用。原材料段階での温室効果ガス排出量を従来比で約24%削減することに成功した。
さらに、一部ウエアにはユニクロとして初めてQRコード付きラベルを導入。スマートフォンで読み取ると、選手は原産地や使用素材の情報に加え、回収先を確認できる。繊維廃棄物の回収やリサイクルを義務付ける規制が強化されつつあるヨーロッパで、サプライチェーンにも対応が迫られる中、透明化と資源循環を目的とした試験的な取り組みとしている。
選手用として、開閉会式やメダルセレモニー、トレーニング、メディア対応などさまざまなシーンを想定した機能ウエアに加え、雪山用のブーツやヒートテックのビーニー、スーツケースのような機能のバックパックなども提供する。
公式ウエアの高機能のアイデアを日常着に
一般向けの「ユニクロ × スウェーデン アスリート コレクション」では、公式ウエアのアイデアを落とし込んだデザインがそろう。“コンビネーションパフテックジャケット(6990円)”は、胴体部分にパフテックを、腕部分にはストレッチフリースを用い、暖かさと動きやすさを兼ね備えた実用アイテム。“ファンクショナルバックパック(6990円)”は、36リットルのユニクロ史上最大量の大きさだ。また、“ニットフリースジャケット(3990円)”は、これまでのカジュアルな印象だったフリースをニット見えさせることで街着としての需要も図る。すべてユニセックス向け。
ユニクロは2018年に北欧1号店をスウェーデン・ストックホルムにオープンしたのを機に、同国代表選手団への公式ウエア提供を続けてきた。主力とする日常着とは異なる、プロフェッショナル向けの高機能アイテムの開発を通じて、“Sports Utility Wear”として一般向け商品にも応用してきた。
ファーストリテイリングの柳井康治取締役 グループ上席執行役員は、「アスリートとの協業はユニクロの付加価値となり、好影響をもたらしている。スポーツ由来のウエアをユニクロ流の“日常着”へと転換する取り組みは、ウォーキングやヨガを中心に非常に反響が大きい」と期待を示す。
一方で、サステナビリティについては「お客さま、特に若い世代からの問い合わせや要望が増え、環境への関心が高まっているのを実感している。ただ、サプライチェーン全体での取り組みはまだ十分ではない。求められる環境配慮の視点と、ユニクロならではのクオリティーと価格をしっかり提示していきたい」と語った。