ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)による新生「ディオール(DIOR)」は、メゾンの新たなビジョンを映し出す新作アクセサリーが豊富にそろった。
バッグで注目したいのは、アンバサダーのジス(Jisoo)やマイキー・マディソン(Mikey Madison)もショー来場時にいち早く携えていた“ディオール シガール“トップハンドルバッグだ。フォームは今季のウエアにも用いたアーカイブの“シガール“ドレスに見られる構築的なシルエットからヒントを得たもので、前面にあしらわれた小さなリボンがポイント。バッグの内側に入れて留めるフラップのマグネット部分が封蝋のようなデザインになっていたり、ハンドルのリング金具を取り付けるホールが「Dior」の「o」になっていたりとディテールからジョナサンらしいユーモアが感じられる。
よりカジュアルなスタイルとしては、茶系のスエードをクタッとしたフォームで仕上げたマグネットフラップ開閉の軽量ショルダーバッグが登場。ショルダーストラップの一部に用いた「Dior」形のメタルパーツがアクセントになっている。また不朽のアイコンバッグ“レディ ディオール“のハンドルやチャーム、“カナージュ“のステッチを取り入れながら、よりデイリーに使いやすいようにファスナー開閉のデザインで仕上げたスエードのミニボストン、そして“カナージュ“を再解釈してレザーのボディーに凹凸を表現したチェーンハンドバッグもラインアップに加わった。さらに、今回のショーに先駆けて9月に発表したキャンペーンビジュアルでも見せたように、“レディ ディオール“は四葉のクローバーやデイジー(ヒナギク)のモチーフをびっしりあしらったデザインなどでアップデート。そこに加えた小さなてんとう虫のモチーフが、なんとも愛らしい。
シューズは、アッパーに「Dior」の金具(バッグ同様、「o」の中はカットアウト)を配したレザーシューズやシンプルなボウ(リボン)をあしらったフェミニンなスリングバックサンダルは、つま先からサイドにかけて「D」を描くようにカーブしたシェイプが新鮮。うさぎの耳のような装飾を施したキトゥンヒールのパンプスやかかと部分のデザインが上向きに尖ったパンプスなどは、創業者時代にロジェ・ヴィヴィエ(Roger Vivier)が同メゾンのために手掛けたアーカイブから着想を得ているという。創業者が愛したバラをモチーフとして大胆にアッパーに飾ったミュールもインパクト満点だ。シューズの素材にはレザーだけでなくウエアとリンクするチェック地やサテンも使用し、豊富なバリエーションを打ち出す。
そんな新たなシューズのデザイン・ディレクターを務めているのは、「ロエベ(LOEWE)」でジョナサンと共に数々のユニークなデザインを生み出し、ダニエル・リー(Daniel Lee)期の「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」やフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(CELINE)」でも活躍したニーナ・クリステン(Nina Christen)。継続するジョナサンとの協業により、新たなヒットアイテムの誕生に期待したい。