ファッション

「ピアジェ」がバルセロナで新作ハイジュエリーを発表 華やかさと優雅さを融合した3部作の第2章

スイス発の「ピアジェ(PIAGET)」はこのほど、スペイン・バルセロナでハイジュエリーとハイジュエリーウオッチの新作コレクション“シェイプ オブ エクストラレガンザ(SHAPES OF EXTRALEGANZA)“を発表した。今回のコレクションは、創業150周年を迎えた昨年披露した“エッセンス オブ エクストラレガンザ(ESSENCE OF EXTRALEGANZA)“に続く3部作の第2章となる。展示会の会場は、スペインを代表する彫刻家兼建築家のハビエル・コルベロ(Xavier Corbero)が50年以上をかけて手掛けたという街の郊外にある自邸。連なるアーチや岩を積み重ねたような巨大なオブジェなど造形美が際立つロケーションに、メゾンの伝統やクラフツマンシップを大切にしながらもステファニー・シヴリエール(Stephanie Sivriere)=ジュエリー&ウオッチ アートディレクターの大胆な色彩感覚やモダンな感性が光るアイテムを並べた。

カギはダイナミックなシェイプ

3部作に共通する「エクストラレガンザ」は、驚きのある華やかさを表す“エクストラバガンス(EXTRAVAGANCE)“と優雅さを意味する“エレガンス(ELEGANCE)“を合わせた造語。特に今回はコレクション名からも分かるように、ジュエリーのデザインから石の形までダイナミックな“シェイプ(形状)“がカギになっている。

そのデザインの背景にあるのは、1960〜70年代に根差したメゾンの創造性だ。かつて創業者の孫である3代目のヴァランタン・ピアジェ(Valentin Piaget)は、「今までになされてこなかったことをしなさい」とデザイナーたちに投げかけていたという。それはメゾンのモットーとなり、63年には文字盤にオーナメンタルストーン(装飾用石)を用いたウオッチが、69年には革新的なジュエリーウオッチの “21世紀コレクション(21st CENTURY COLLECTION)“が誕生した。また、芸術界とつながりの深かった4代目のイヴ・ピアジェ(Ives Piaget)は、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)やアルマン(Arman)、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)らアーティストとの交友関係からコラボレーションを手掛けてきたという。

「ピアジェ」らしさを現代的に再解釈

新作は、そんなメゾンの軌跡に敬意を表し、既成概念を超越する大胆さや独創性を現代に向けて再解釈したカラフルな51点で構成。それらは、四角や三角といった幾何学的なシェイプから有機的な曲線までが混ざり合い、まるでアート作品のようだ。

例えば、“アーティ ポップ“のウオッチは、マラカイトの文字盤に覗くムーブメントからエメラルドなどをあしらった幾何学モチーフが飛び散ったようなデザイン。“ウェーブ イリュージョン“のダイヤモンド、スピネル、ルビーで描く波状の曲線は、デザイナー集団メンフィスを創設したエットーレ・ソットサス(Ettore Sottsass)の象徴的作品“ウルトラフラゴーラミラー” をほうふつとさせる。色とりどりのオーナメンタルストーンとパヴェダイヤモンドを組み合わせてストライプを表現した“カレイドスコープ ライツ“は、60年代に脚光を浴びたオプアートからインスピレーションを得たものだ。

一方、クッションカットのブルーサファイアとさまざまな形のブラックオパールをあしらった “フローイング カーブ“は、70年代に起こった自然回帰のムーブメントやカンヌ近郊にある泡の宮殿(Palais Bulles)に見られるような有機的な曲線から着想。ホワイトゴールドにハンマー仕上げを施すことで、豊かな質感を生み出している。虹色の宝石がきらめく“フランボヤント ボウ“は、オートクチュールのリボンを再解釈したフォルムが印象的。繊細なグラデーションを表現するため、宝石の調達には1年半以上を要し、チタン製のベゼルはセットする宝石に合わせて着色することで鮮やかな色合いを引き立てている。

また、“21世紀コレクション“にオマージュを捧げるジュエリーウオッチの“スウィンギングソートワール“(ロングネックレス型のデザイン)やカフ、羽根細工職人のネリー・ソニエ(Nelly Saunier)との協業によりフェザーをバラの花を形作るように重ねて中央にレッドスピネルをあしらうことで82年に誕生した“イヴ・ピアジェ ローズ“をハイジュエリーに昇華したアイテムなど、象徴的なデザインへの新たなアプローチも見られた。そして、「ピアジェ」が探求し続けている“形の遊び“の究極の表現と言えるのは、フランス人アーティストのアレックス・パレンスキー(Alex Palenski)に制作を依頼したモビール彫刻のようなテーブルクロック“エンドレス モーション“。意表を突くアイデアで、メゾンと芸術とのつながりを表現している。

老舗メゾンの変わらぬ価値と進化

「ピアジェ」は1874年に時計のムーブメント製造からスタートし、世界的なウオッチ&ジュエリーブランドへと発展した。そんな老舗で20年以上ジュエリー制作に携わるシヴリエール=アート・ディレクターは、メゾンの変わらない価値について「オーナメンタルストーンやゴールドにキャラクターをもたらす手仕事をはじめ、ウオッチ&ジュエリーにおけるクラフツマンシップと一貫性」と説明する。

一方、現代性を表現していくために重要なのは「過去を再現するのではなく、常に挑戦し進化を続けること」とコメント。「もともと時計に用いられていたパレス装飾(『ピアジェ』を代表する彫金技術)をジュエリーに取り入れるなど、単にモダンなデザインを作るのではなくメゾンの歴史やコードを生かしながら新しさをミックスすることで、これまで存在しなかったものを生み出している」と続ける。その考えは、まさに「ピアジェ」のモットーに通じるもの。今回発表された“シェイプ オブ エクストラレガンザ“からは、メゾンの精神を受け継ぎながら遊び心あふれる大胆なアイデアで新たな高みを目指す姿勢が感じられた。

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