ファッション
特集 2025年の新作時計 第2回

「不安」で「不穏」な時代ゆえ、「納得」の性能や仕上げ、価格の時計揃う 2025年「ウオッチズ・アンド・ワンダーズ」

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「不安」で「不穏」な時代ゆえ、「納得」の性能や仕上げ、価格の時計揃う

トランプ政権による経済システムの破壊工作は、結果的にラグジュアリービジネス、ラグジュアリーアイテムの本質的な意味と価値を問う。「不安」で「不穏」な時代だからこそ、「納得」の性能や仕上げ、価格の時計が揃った。注目の新作をまとめる。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月28日&5月5日合併号からの抜粋です)

TREND 1:
「不安」で「不穏」だからこそ
ブランドの本質を表現

「パルミジャーニ・フルリエ(PARMIGIANI FLEURIER)」

控え目で上品な“クワイエット・ラグジュアリー”を追求してきたブランドらしい、パーペチュアルカレンダーには見えないミニマルなデザインが話題の1本。8時位置に曜日と日付、4時位置に月と閏年を表示するインダイヤルをシンメトリーに配置。

カルティエ(CARTIER)

時と分を「タンク」に開けたふたつの窓から、回転ディスクで表示する。1928年のオリジナルモデル「タンク ア ギシェ」のデザインを継承しつつ、表示位置をオフセット。さらに時表示をジャンピングアワー化した、コレクター向けのスペシャルモデル。オリジナル同様に時、分表示を上下に並べたジャンピングアワーモデルもある。

ブルガリ(BVLGARI)

1948年に誕生した、蛇モチーフの「セルペンティ」コレクション。「エテルナ」という名の新作は、従来の「トゥボガス」とは違うシャープで優美なフォルムが特長。リュウズ、ケースのヘッド、文字盤、ブレスレットにダイヤモンドをセッティング。

フランク ミュラー(FRANCK MULLER)

天才時計師フランク・ミュラー(Franck Muller)が最も得意とする複雑機構のトゥールビヨン、それもキャリッジ径17.7mmという特大サイズを新しいラウンド型ケースの中央に配置。その動きを徹底的に可視化するため、外周から突き出た時針と分針で時刻を表示する。

ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)

パリを舞台にした、恋する男女の物語を描いてきたオートマタウオッチの新作は、19世紀にパリ郊外やその周辺で人気を博した、屋外のダンスカフェ、ギャンゲットが舞台。正午と真夜中、また8時位置のプッシュボタンを押すと、口づけを交わす二人の姿を上演する。

パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)

1999年に誕生したレディスウオッチの最新作は、パーペチュアルカレンダーを搭載した初のコンプリケーションモデル。直径36mmという小ぶりなケースサイズと、表示が凝縮された端正な文字盤デザインが素晴らしい。

ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)

メゾンの王道ともいえるラウンド型ウオッチ「トラディショナル」の新作の一つ。創業270周年を記念して、1880年からメゾンの象徴である「マルタ十字」をモチーフにした、今年のみというスペシャルデザインの文字盤を採用。薄いベゼルやミニマルデザインのドーフィン針など、通好みのディテール。

ピアジェ(PIAGET)

1970年代を代表する現代アーティストで「ピアジェ」の愛用者だったアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の名を冠し、彼が愛用した72年モデルを現代に甦らせた新作。写真のオパールのほか、タイガーアイやメテオライトを用いた4モデルが登場した。

グランドセイコー(GRAND SEIKO)

自動巻きのメカニズムにクォーツ式の調速機構を融合させた、世界で唯一無二の「スプリングドライブ」の新型ムーブメントを搭載。水晶振動子やIC回路を徹底的に進化・改良することで、初の「年差±20秒」の高精度を実現した。

ロレックス(ROLEX)

1969年のクォーツモデル、74年の「デイトジャスト」のブレス一体型デザインを継承・発展させたケースに、ブランド初の10振動で新型の脱進機「ダイナパルス エスケープメント」などの最新技術を塔載した、全てが斬新な新作“オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー”。ケースサイズは直径40mmと36mm。

「エドックス(EDOX)」

300m防水というハイスペックながら、ほぼ30万円という手頃な価格が魅力的。ステンレススチールのベゼルにセラミックプレートを重ね、セラミックベゼルに比べて価格を抑えている。耐久性に優れたシリコン配合のラバー素材ストラップも特徴。

「ロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)」

ブランド創業30周年を記念した新作は、創業者で時計師のロジェ・デュブイ(Roger Dubuis)が最も好んだとされる、1996年に発表したモデルを彷彿させるデザイン。文字盤は立体的な7層構造で、マザー・オブ・パールのインサートを配置する。近年の時計とは異なる趣に原点回帰。

INTERVIEW:
ジャガー・ルクルト最高経営責任者(CEO)

ジェローム・ランベール/ジャガー・ルクルト最高経営責任者(CEO)

ジェローム・ランベール(Jerome Lambert)/ジャガー・ルクルト最高経営責任者(CEO)

PROFILE:1969年生まれ。96年にジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)に入社。以後、同社CEO、モンブラン(MONTBLANC)のCEO、A.ランゲ&ゾーネ(A. LANGE & SOHNE)の会長&CEOなどを歴任。その後、グループの物流などを指揮し、2024年6月にはリシュモングループの最高執行責任者(COO)に就いた

トランプ関税に直面する今も、
未来は伝統から生まれる

ジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)」は、1833年から休むことなく革新を続け、卓越した時計を生み出してきた。ネジ1本から社内で生産し、すべての高級腕時計と置時計を自社工房内で、自分たちの手で設計・開発・製造している。さらにエナメル装飾やジュエリーのセッティングまですべてを内製している、スイスでも唯一のマニュファクチュール。この偉大なメゾンの経営を再び任されることは最高の喜びだ。私のこれからの仕事は、かつて在籍したとき同様、またそれ以上に、先人たちが200年あまり続けてきた卓越した時計作りをさらに推し進めて発展させること。自分のキャリアの中で最後の、とてもやりがいのある仕事だ。

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