ファッション

韓国の人気バッグ「オソイ」は「あえてコンセプトを作らない」 狙いを創業者に聞く

PROFILE: ヒージン・カン/「オソイ」創業者兼CEO兼クリエイティブ・ディレクター

ヒージン・カン/「オソイ」創業者兼CEO兼クリエイティブ・ディレクター
PROFILE: 1982年生まれ、韓国・ソウル出身。2016年、バッグ&シューズブランド「オソイ」を創業する。現在は、CEOを務めつつ、デザインとクリエイティブを監修している PHOTO:DAISUKE TAKEDA
韓国発のバッグ&シューズブランド「オソイ(OSOI)」が、昨年同ブランドの国内独占販売権を取得したユナイテッドアローズとともに、日本での事業を拡大している。ブランド名は、日本語の「遅い」に由来。「自分たちのペースでモノ作りをしたい」というヒージン・カン(Hee Jin Kang)創業者兼CEO兼クリエイティブ・ディレクターの思いが込もるが、それとは裏腹に、ブランドの人気は急速な高まりを見せている。このほど来日したヒージン=クリエイティブ・ディレクターに、「オソイ」のブランド作りについて聞いた。

WWD:改めて、「オソイ」について教えてほしい。

ヒージン・カン「オソイ」創業者兼CEO兼クリエイティブ・ディレクター(以下、カン):「オソイ」は2016年、ウィメンズバッグ&シューズブランドとしてスタートした。当時は、30〜40代の女性がメインターゲットだったが、現在は20代まで裾野が広がっている。海外展開も進めている。日本ではユナイテッドアローズ、その他の国はタイのセントラル・グループが流通のパートナーだ。聖水(ソンス)の本店を拠点に、アジアから欧米まで全世界30ヵ所以上に卸している。

WWD:ブランドコンセプトは?

カン:あえて作らない。クリエイションの限界を定めたくないから。むしろさまざまなコンセプトを取り入れながら、ブランドを育てていきたい。その集積こそが、私たちのブランドコンセプトだと言い換えられる。

WWD:それだと、ブランドイメージを構築しにくくないか?

カン:私たちには、特徴的なシルエットがある。「オソイ」にとって、コンセプト以上にブランドを物語る存在だ。

WWD:「オソイ」のシルエットとは?

カン:曲線で描かれた、ボリューミーで遊び心のあるシルエット。ハイブランドのバッグで目が肥えてきた人の目にも留まることだろう。

WWD:代表的なバッグは?

カン:あえて選ぶなら、16年に発売した“ブロート”シリーズ。着想源は、古典映画の主人公が使っていたドクターズバッグだ。ローンチ時からあるバッグだが、今も売り上げのトップ5に入るほど継続的な人気を誇る。ちなみに、“ブロート”はドイツ語でパンを意味する。ずっと見ていると、ふっくらとしたシルエットが焼きたてのパンに見えてくるだろう。

WWD:カラーリングへのこだわりは?

カン:私たちが作っているのは、服ではなくバッグ。クリームやブラウンなど、服に合わせやすいカラーを意識している。

WWD:洗練されたビジュアルも印象的だ。

カン:バッグは、スタイルを作るものではなく、スタイルに溶け込むもの。だからこそ、ビジュアルで「どのようにスタイリングすべきか?」まで丁寧に伝える必要がある。20代までファンが広がっているのも、ビジュアル作りにこだわっているから。感度の高い見せ方が、新客流入のフックになっている。

ユナイテッドアローズと目指すもの

WWD:ユナイテッドアローズと組んだのはなぜか?

カン:私たちにとって、日本は最も重要なマーケット。23年の時点で、日本の売り上げは全体の20%を超え、旗艦店のソンス店も日本人の顧客が一番多い。それゆえ、日本でのパートナー選びは慎重にすべきと考えていた。ユナイテッドアローズは、卸先の中でも特段売れ行きが良かった。中には、立ち上がりから1カ月で売り切れるコレクションもあったほどだ。反応の良さは相性の良さ。私たちが日本で事業を広げていくにあたり、ユナイテッドアローズほど頼りになる企業はない。そう思い、力を貸してもらうことにした。

WWD:日本での戦略は?

カン:日本でしっかりと根を張り、ブランドを育てていきたい。2月中旬には、公式ブランドサイトを「ユナイテッドアローズ オンライン」内に開設し、「ユナイテッドアローズ」の一部店舗に常設コーナーを構えた。今年中には、東京に単独店もオープンする予定だ。内装にこだわり、「オソイ」の世界観をより立体的に伝えられる場所に仕上げたい。

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