アサヒビールとニッカウヰスキーは12月9日〜21日までの13日間限定で、“竹鶴ピュアモルト”の世界観を体験できるバー「ザ タケツル エクスペリエンス(The TAKETSURU experience)」を「トランクハウス カグラザカ(TRUNK(HOUSE)Kagurazaka)」にオープンした。完全予約制の同バーは、ニッカウヰスキーを代表するブランド“竹鶴ピュアモルト”と料理のペアリングによるオリジナルコースやカクテルを提供するほか、展示や空間演出を通じ、創業者である竹鶴政孝がウイスキー作りに込めた哲学を五感で体験する空間だ。
“竹鶴ピュアモルト”は 創業者の竹鶴政孝の名を冠したウイスキーとして2000年に誕生。シェリー樽熟成の“余市モルト”と“宮城峡モルト”、リメード樽熟成の“宮城峡モルト”をキーモルトに採用し、“余市モルト”と“宮城峡モルト”という異なる個性の原酒を、ニッカウヰスキーが培ってきたブレンド技術によって調和させている。華やかでフルーティーな香り、滑らかな口当たり、重厚なモルトの甘みとコク、そしてやわらかい余韻が特徴だ。
「竹」と「鶴」に包まれた空間
今回のバー「ザ タケツル エクスペリエンス」の空間では、玄関のライトやスタッフの制服など、いたる所で「竹」と「鶴」をモチーフにした装飾が見られた。これらは、創業者の竹鶴政孝が生前、「竹」や「鶴」の模様が入ったグラスや灰皿を好んで使っていたことにちなんだもの。今回、竹鶴が実際に愛用していた私物も特別に展示していた。
五感で味わう“竹鶴ピュアモルト”のフルコース
体験のメーンとなるのは“竹鶴ピュアモルト”と料理を合わせ、「五感」をテーマに構成したフルコースだ。「香る」「触れる」「視る」「聴く」「味わう」の5つをキーワードに、“竹鶴ピュアモルト”のさまざまな魅力を体験できる内容となっている。
コースの最初は、「香る」をテーマに“竹鶴ピュアモルト”のブレンドを構成する“シングルモルト余市”と“シングルモルト宮城峡”の原酒をテイスティング。海に近い余市蒸溜所由来の力強くスモーキーな香りと、山あいの宮城峡蒸溜所で生まれるフルーティーで軽やかな香りの違いを感じた後、それらを融合させた“竹鶴ピュアモルト”の香りを味わう。料理は生海苔のジュレとリンゴのフォームを組み合わせた一皿。海と山という異なる環境で作られる2つの原酒をブレンドして生まれる“竹鶴ピュアモルト”を表現した。
続いて「触れる」では魚介の旨味を凝縮したコンソメスープとともに、“竹鶴ピュアモルト”の水割りと湯割りを味わう。鯛のアラやホタテ、香味野菜を10時間ほど煮詰めたスープは、温かいものと冷たいものの2種類。ウイスキーは前割りで仕込んだ水割りと1対3で割った湯割りが提供された。温度の違いによって生まれる口当たりの変化やまろやかさ、味の感じ方の違いをスープとともに感じられるペアリングだ。
「見る」をテーマにしたパートでは、ワインに近い度数に調整した“竹鶴ピュアモルト”の水割りをワイングラスで提供。飲む直前にグラスに宮城峡蒸溜所限定の香りをスプレーで加え、フルーティーさと華やかさを際立たせた。合わせるのは、青森県産の鴨のリエットを最中に載せた一皿。豆腐、人参、マスタード、バルサミコ、味噌の5種のソースが添えられた。
次なる「聴く」で味わうのは、しっかりと冷やした“竹鶴ピュアモルト”のソーダ割りに“余市”のシングルモルトを数滴加え、スモーキーさと力強さを際立たせた一杯だ。料理は、炭火で焼き目を付けた黒胡麻の胡麻豆腐。石炭をイメージした盛り付けと、 店内に流れる余市蒸溜所で石炭をくべる音により、味覚と聴覚の両方から楽しめる内容となっていた。
最後の「味わう」では、ストレートの“竹鶴ピュアモルト”に自身でスポイトで水を加えながら、香りの広がりや味わいの変化を楽しむ。低温で火入れし、“竹鶴ピュアモルト”を漬け込んださつまいもに、黒糖のショコラガナッシュを添えたデザートでコースは締めくくられた。

ニッカウヰスキーは、昨年迎えた創業90周年を機に、新たなコミュニケーション・コンセプトを「生きるを愉しむウイスキー」に策定。このコンセプトは竹鶴政孝の「英国人がウイスキー相手にじっくり生を愉しむように、酔うためでなく愉しむために飲んでほしい」という思いが込められている。
25年はウイスキーを将来にわたって安定的に供給するため、約70億円を投じて設備投資を実施。余市蒸溜所の製樽棟や高層貯蔵庫、混和棟の建設に着工した。今後も継続的な設備投資をベースに、ニッカウヰスキーの強みを生かした商品開発やウイスキーの多様な楽しみ方を提案していくという。