ファッション

パリに日本の“美衣食住”を体験する「ビエン」がオープン 「日本の職人にとって希望の場所に」

 日本の美容プロダクトを欧州市場へ展開するコンサルティング会社デッシーニュ(Dessigns)は、フランス・パリに日本の“美衣食住”をテーマにしたコンセプトストア「ビエン(Bien)」を現地時間11月4日にオープンした。同店を手掛けるのは、デッシーニュ代表の星野貞治と須山佳子だ。

 店舗はパリ6区の、1750年に建てられた歴史的建造物の地上階に構えた。店内は、落ち着いたトーンの什器を中心に、ライフスタイルプロダクトや作家の作品を置く“陰”の空間と、美容とウェルネスのプロダクトが並ぶ“陽”のスペースに分けている。同店が商品以上に重視しているのは「日本のホスピタリティ」といい、陰陽の空間の中央にある檜のカウンターでは、日本茶を提供しながらカウンセリングや商品の体験スペースとして使用する。

 さらに中二階の多目的スペースでは、セルフマッサージのセミナーや風呂敷の講座、「ビエン」創業者でデザイナーの星野による定期的なオーダーメード服の受注会を行い、日本の美意識を体験する場として提供する。

 須山は16年より日本の美容をテーマにしたポップアップ「ビジョ(Bijo;)」を主宰し、22年からボンマルシェ百貨店(Le Bon Marche)に常設コーナーを設けている。精巧で卓越した美しさと、使うたびに喜びを感じられる日本製品の魅力がフランス市場で認知され始め、さらなる可能性を感じて同店のオープンに至ったという。須山は「衣食住の生活の中にある日本の美意識は、百貨店のコーナーでは伝えきることがなかなかできません。それを考察し、体験する場として『ビエン』を構えました。19年から継続的に行っている大規模なポップアップでは、美容プロダクトに加えて、什器など“住”の作品も大変好評を得ており、『新たに買い足したい』というお客さまの声が届いています。あまり多くを語らない日本の作家や職人、生産者の物作りへの思いを代弁し、私たちが本物だと信じるものだけを紹介していきます」と語る。百貨店の常設コーナーでは、洗顔料や美容ツールが人気を集める一方で、欧州での取り扱いが少ない香水、日焼け止め、サプリメントへの需要が高まっており、今後強化していくジャンルだと話した。

 “美”のスペースに並ぶのは、漢方成分をベースにした「オー ド キ(EAU DE KI)」や「イプサム アリイ(IPSUM ALII)」、金箔スキンケアの「まかないコスメ」といったスキンケアから、美顔器「ヤーマン(YA-MAN)」、ヘアケア「ウカ(UKA)」や高級爪切り「スワダ(SUWADA)」など25ブランド。京都西陣の細尾や有松絞りの「スズサン(SUZUSAN)」、今治タオルなどを“衣”として販売する。

 欧州で近年トレンドのインナービューティに応える“食”のスペースで、「ビジョ」が独自開発したオーガニック日本茶ブレンドや、欧州では珍しいコラーゲン美容ドリンクを並べる。“用の美”をコンセプトにした“住”のスペースでは、欧州の生活になじむ、静かな佇まいと機能美を兼ね備えた作品に焦点を当てたという。京都・開化堂の茶筒や、 16代続く朝日焼の茶器、竹職人の公長齋小菅の花籠、中川木工の伝統的な檜の木桶のほかに、作家の作品をインタレーション形式で見せる個展を定期的に行う予定だ。

 須山とともに「ビエン」を総合プロデュースする星野は、「人間の手による創意工夫、絶え間ない研鑽によって生み出された“用の美”の結晶は、文明の進化の過程でもあります。今同じ時代に生きている人たちにその美しさを伝えていきたい」と話した。日本の製品は繊細で使用方法が細かいため、体験しながらその魅力を伝えられるように、月曜から水曜日はアポイントメント制にして丁寧な接客で来客者を迎える。

 さらに同店をBtoBのショールームスペースとしても機能させ、取り扱うブランドの欧州市場開拓にさらに注力したいと須山は意気込む。「ここを頼りに欧州に広がっていけるような、日本で物作りをする人たちにとって希望の場所にしたい」。

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