ビューティ
連載 海外ビューティ通信

パリの若者に大人気!手頃な価格の新クリーンビューティブランド【海外ビューティ通信】

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。

フェイシャルも格安!季節ごとの悩みに対応する「シーズンリー」

 フランスでは、クリーンビューティがほぼ当たり前になっている。ブランドはオーガニックやグリーンであることを全面に出さずとも、消費者がスマホアプリ「ユッカ(YUKA)」で製品の安全性の評価をチェックしてから購入することが習慣化している。そんな中、新しく若者層に絶大な支持を得ている手頃な価格の2つのクリーンビューティブランドを紹介する。

 パリのトレンド情報や流行のスポットを配信するニュースレター「マイ リトル パリ(My Little Paris)」の創始者として大成功を収めたファニー・ペショワダ(Fany Pechoidat)が2019年に立ち上げた「シーズンリー(SEASONLY)」は、季節ごとの悩みに応じ、フレッシュかつパーソナライズを売りにしたスキンケアを展開する。プロのモデルではなく、そばかすやシワ、たるみ、肌荒れなど実際に悩みを持つ一般の女性たちをモデルに起用し、インスタグラムで積極的に発信し、イメージをアップしている。パリ2区にスタジオ兼ショップをオープンし瞬く間に話題となり、昨年にはギャラリーラファイエット本館3Fのコーナーを含むパリに5店舗、ボルドーに1店舗をオープンするなど、急成長している。

 おすすめは、肌診断を経て自分にぴったりのスキンケアが届く“ルーティーンセット”(単発購入89ユーロ、約9700円。3カ月のサブスクリプションで計59ユーロ、約7600円)だ。ネットで年齢、ストレスや汚染レベル、肌タイプ、悩み、好みのテクスチャーなどについて答えると、セラム、クリームとカッサの3点が届く。そのほか単品でも化粧水(28ユーロ、約3600円)、クリーム(38ユーロ、約4900円)、セラム(25ユーロ、約3200円)と手頃な価格で製品をそろえる。

 ショップには可愛いドーム型の施術ルームが設置され、10分間のカッサ、目元、頭皮マッサージなどのミニコース(15ユーロ、約1900円)から、フェイスジム(1時間110ユーロ、約1万4100円)、LEDライトでコラーゲンの生成を刺激し、ヒアルロン酸の劣化を抑える酵素へ働きかけるエイジングケアコース(60分95ユーロ、約1万2200円)、そしてビタミン、抗酸化物質、セラミド、ヒアルロン酸、植物由来ポリアミドなどを肌に直接入れる韓国式リフティング(30分115ユーロ、約1万4800円。60分180ユーロ、約2万3200円)など、常に新しい美容トレンドを盛り込んだ楽しいコースばかりだ。

 スタジオでは定期的にヨガ教室や消費者と積極的にアイデアを交換するワークショップ、科学者やアーティストを招いたトークセッションを開いている。またニュースレターでは世界中の最新美容・ウェルネス情報を始め、マスク時のメイク方法やおすすめのレシピ、本などさまざまな情報を盛り込んでいて面白い。

パリのメンズビューティを盛り上げる「ホラス」

 もう一つ注目のクリーンビューティブランド「ホラス(HORACE)」は16年にECからスタートし、昨年マレ地区とギャラフィーラファイエットのメンズ館、リヨンに店舗をオープンした話題のメンズスキンケアブランドだ。全てフランス製にこだわり、95%以上自然派由来であるにも関わらず、中間業者を介さないため15ユーロ(約1900円)前後でフェイス、ボディー、ヘアケアプロダクトが買えてしまうのが魅力だ。創始者の一人マルク・ブリアン・テルレ(Marc Briant-Terlet)は「スーパーでは、タウリン配合のシャワージェルや効能が明確でないケミカルな歯磨き粉を勧められる。そんな(クリーンでない)製品に過去数年で何百ユーロも費やしていたことにうんざりしたんだ」と振り返る。そんな中、「男性は刺激的な商品名だけが一人歩きした90年代のマーケティングトレンドにずっと縛らわれていて、商品について質問することに消極的になっていた。われわれはさまざまな製品を実際に試しコストパフォーマンスと優れた効果を確実に期待できる商品だけを提供したい」と考えたことから、ブランドをスタートしたという。「顧客の悩みや相談にはSNSを通じて積極的に答えるようにし、ウェブマガジンでさまざまなメンズコスメ情報を共有して消費者の意識を高めることに努めている」。

 ベストセラーの洗顔フォーム(12ユーロ、約1500円)は日本の備長炭とアロエベラを配合し、モイスチャークリーム(16ユーロ、約2000円)はウチワサボテンとパパイアAHA配合で肌の乾燥を防ぎ、時間とともに肌の水分バランスを取り戻す。新製品のブルーイモーテルとカオリンクレイ入りのフェイスマスク(12ユーロ)は初めてマスクをする男性でも楽しめる鮮やかなブルーのマスクで、毛穴を引き締める効果が期待できる。またリサイクルにも積極的で、店頭では空き容器を5つ持参すると10%の割引きを提供する。

 この2つのブランドに共通するのはDtoCからスタートし、顧客の意見を積極的に取り込み手頃な価格のプロダクトを提供している点だ。またウェブマガジンやニュースレーターを通して、ブランド情報だけに留まらず、最新の美容トレンドやおすすめのスキンケア、インタビュー記事なども提供する。成長し続ける新しい流れのクリーンビューティ事情に、今後も注目したい。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

原宿・新時代 ファッション&カルチャーをつなぐ人たち【WWDJAPAN BEAUTY付録:中価格帯コスメ攻略法】

「WWDJAPAN」4月22日号の特集は「原宿・新時代」です。ファッションの街・原宿が転換期を迎えています。訪日客が急回復し、裏通りまで人であふれるようになりました。新しい店舗も次々にオープンし、4月17日には神宮前交差点に大型商業施設「ハラカド」が開業しました。目まぐるしく更新され、世界への発信力を高める原宿。この街の担い手たちは、時代の変化をどう読み取り、何をしようとしているのか。この特集では…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。