ファッション

ファストリ柳井会長、「値上げによる売れ行きへの影響はない」 2022年8月期は過去最高業績

 ファーストリテイリングの2022年8月期連結業績(国際会計基準)は、円安による為替換算の押し上げ影響を除いても、売上収益(売上高に相当)、利益ともに過去最高となった。最高業績更新は2期連続。海外ユニクロはグレーターチャイナが増収減益となったが、東南アジア、欧米がそれに続く収益の柱として成長。国内ユニクロは通期では減収・わずかに増益だったものの、下期(3〜8月)以降回復している。今秋冬は一部商品の値上げが大きな話題となっているが「今のところ値上げによる影響はない。むしろ(売れ行きは)好調」と柳井正会長兼社長は話す。

 海外ユニクロの収益の柱であるグレーターチャイナはゼロコロナ政策により振るわなかったものの、欧米は黒字化を達成し、「北米・欧州で事業を進めていくための基盤が整った。これで真のグローバルプレーヤーになれる」と自信を見せる。今後はニューヨークやロンドンの機能を強化し、現地の声を生かした商品開発や、IT・物流分野などで現地の最先端企業とのネットワークを模索する。

 国内ユニクロの下期の回復は、天候や感染症の落ち着きに加え、“感動ジャケット”“感動パンツ”などのヒット商品が出たことが寄与した。「原材料や輸送費の高騰で原価率は悪化し始めているが、下期は値引率の抑制によってそれを吸収できた」と岡崎健取締役グループ上席執行役員CFO。「われわれが作っている商品はクラシックでベーシック。来年も売れる商品であり、(今秋冬物ももし売れ残ったとしても)大幅に値引きする必要性はない」(柳井会長)。「円安原料高の中で価格を据え置くことは無理」な状況だが、「求められているのは適正な価格のいいものであって、ただ安いだけの商品では売れない。客が見た瞬間にいいなと思うような、新しい価値を持つ商品を作る」ことが重要と強調する。

 22年8月期は、売上収益が前期比7.9%増の2兆3011億円(うち海外ユニクロが同20.3%増の1兆1187億円、国内ユニクロが同3.8%減の8102億円)、営業利益が同19.4%増の2973億円(うち海外ユニクロが同42.4%増の1583億円、国内ユニクロが同0.6%増の1240億円)、純利益が同60.9%増の2733億円だった。為替の影響を除いた営業利益は同約14%増だった。

 23年8月期は、売上収益が同15.2%増の2兆6500億円、営業利益が同17.7%増の3500億円を見込む。


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