ファッション

悲願のパリ復帰を果たした「アンダーカバー」は、エモーショナル&ロマンチック パリコレで勝負する日本人デザイナーVol.6

 「アンダーカバー(UNDERCOVER)」が、パリコレに戻ってきた。現地でのショーを開くのは、2020-21年秋冬メンズ以来2年8カ月ぶり、ウィメンズ単独では4年半ぶりになる。高橋盾デザイナーは、20年4月に同年秋の21年春夏シーズンからパリでのウィメンズショーを再開させる意向を示していたが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響などで延期を余儀なくされてきた。東京でのショーやルックブックでのコレクション発表を経て、悲願のパリ復帰を果たした。

 今季のクリエイションには、そんなコロナ禍に募らせたパリへの想いや感情を詰め込んだ。象徴的なのは、ファーストルックのネオンイエローのスーツをはじめ、シャツやTシャツ、トレンチコート、ボンバージャケットなど日常着に加えた鋭い切り込み。「DREAM」や「LOVE」と書かれたTシャツに、ナイフを走らせるように入れたスラッシュは、高橋デザイナーの引き裂かれた思いを表しているようだ。ただし、ほぼ全ての切り口には、チュールのフリルまたは花のモチーフをプラス。そのおかげで、残酷さや冷たさというより、再生していくような希望を感じさせる。

 もう一つの特徴的な提案は、複数のスタイルで楽しめるアイテム。ミニスカートとテーラードパンツがドッキングされたようなデザインや、足を通すところが3つに分かれたドレスなど、着方によって余ったパーツは装飾となって垂れ下がるようにデザインされているのがポイントだ。

 そしてラストに披露されたのは、オートクチュールさながらの4着のバルーンドレス。穴の開いたカットソー地やシワシワの生地、切り裂かれたチュールなど、本来のクチュールでは使われないような手法を取り入れ、「アンダーカバー」流のエレガンスを表現した。

 今回のショーに使われた音楽は、エリック・サティ(Erik Satie)が作曲した「グノシエンヌ 第1番(Gnossienne No.1)」や、モリー・ドレイク(Molly Drake)の「I Remember」。どこか悲しく儚げなピアノの旋律や歌声が静かな空間に響き、心に染みわたる。荘厳な教会という日本では実現できないような会場を舞台に、エモーショナルかつロマンチックなショーを見せた。

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