ファッション

バーバリーが宣言 CO2削減が排出を上回る「クライメート・ポジティブ」へ

 バーバリー(BURBERRY)はこのほど、2040年までにCO2の排出量よりも削減量の方が多い「クライメート・ポジティブ」の達成を宣言した。これまで掲げていた目標「40年までにカーボンニュートラル実現」よりもさらにハードルを上げた設定であり、ラグジュアリー・ブランドとして初の宣言となる。CO2削減目標は自社を含むサプライチェーン全体の削減を意味するステップ3において「30年までに30%削減」の当初目標を改め、46%削減を目指すという。

 目標実現に向けたアクションのひとつとして2020年に設立した「バーバリー再生基金(BURBERRY REGENERATION FUND」では、カーボンオフセットやカーボンインセット(企業のコアビジネスやバリューチェーン内でのCO2削減)するプロジェクトを支援している。その最初の取り組みのひとつがオーストラリアでの再生農業プログラムで、ウール生産者と提携し農場の土壌中のCO2改善、水循環の改善、生物多様性の回復を推進している。

 またSDGs 達成を目指すグローバルなファッション団体「ファッション・アベンジャーズ(Fashion Avengers)」をサポートする一環として「フォレスト・オブ・チェンジ(Forest of Change)」プロジェクトを支援。同プロジェクトは21 年ロンドン・デザイン・ビエンナーレに合わせて英国のデザイナー、エズ・デブリン(Ez Devlin)が手掛けたもので、21年6月1日から27日までの間、ロンドンのサマセット・ハウスの中庭に森を出現させるインスタレーションを開催中だ。来場者はSDGsの17の目標を体験することができる。

 これらの目標に関して同社のマルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者(CEO )とパム・バティ(Pam Batty)=コーポレート・リスポンシビリティ・バイスプレジデントに話を聞いた。

これは単なる野望ではない、アクションだ

WWDJAPAN(以下、WWD):高い目標を実現に向けて一番の課題は何か。

マルコ・ゴベッティ=バーバリー最高経営責任者(CEO):クライメート・ポジティブの実現は複雑かつ長い道のりだ。そしてこれを発表したこと自体が我々にとって最初の一歩となった。社内およびサプライヤーと共に、バーバリーが本当にこれを実現できる立ち位置にいるのか、検証をしてきた。検証を行い、どこにインパクトがあるのかを調べること自体はそれほど難しいことではない。ただそれを単に野望として掲げるのではなく、バリューチェーン全域にわたりアクションを起こしていくには、人々にやる気を起こさせ、新しい解決法を共有し図る必要がある。

WWD:それに対してどう対処するのか?

われわれの事業においてカーボンニュートラルを実現し、電力源を来年までに全て再生可能なものとする計画は順調に進んでいる。ただそれだけでは足りず、さらに先を目指す必要がある。次のステップとして、CO2排出の問題において自社のオペレーションを超え、ファッションで最もインパクトを与えているサプライチェーン全体での排出を低減させることが必要だ。我々はスコープ3の目標を発表したが、さらに野望を膨らませ、パリ協定が掲げる気温上昇を1.5℃に抑える計画の経緯と我々の目標を一致させる。ラグジュアリー産業が本当の意味でサステイナブルになるにはそこまで目指す必要がある。

WWD:実現には外部とのつながりも重要だ。

われわれは、ラグジュアリー業界で変化を提唱することにおいて、中心的な役割を担っていると自負している。世界に拠点を持つラグジュアリー・ブランドして、意味のある変化を起こすため、NGO団体や他社ブランド、そして政策立案者をつなぐユニークなポジションにある。数ある取り組みのうちファッション業界が特に注力している2つの団体である、国連のファッション業界気候行動憲章(Fashion Industry Charter for Climate Action)とファッション協定(THE FASHION PACT)においてメンバーとして活動している。これらの団体は、企業の幹部クラスと、サステナビリティやサプライチェーンの専門家を直接つなぎ、コラボレーションするための場を提供している。まさにこのような取り組みを行う必要があるのです。

社員にもCO2排出量が少ない移動手段を呼びかけ

WWD:取引先や工場といったサプライチェーンのパートナーには何を求めてゆくか。

パム・バティ=バーバリー コーポレート・リスポンシビリティ・バイスプレジデント(以下、バティ):目標を実現するためには、サプライチェーンにおける排出の低減が必須課題だ。そしてそのゴールに向け、幅広いアクションを起こしている。具体的にはサプライチェーンのパートナーと共に再生可能エネルギーへの転換、エネルギー消費削減などに取り組みながら、自社のオペレーションにおいては100%再生可能な電力使用実現へのコミットメントを維持している。ロジスティックスに関しては、よりサステイナブルな輸送手段に変えている。同時に社員に対してもCO2の排出量が少ない移動手段への切り替えを呼びかける。また、原材料へのインパクトを軽減させるためのプロジェクトや、自然のエコシステムを復元、保護するプロジェクトにも投資を続けてゆく。

WWD:クライメート・ポジティブ実現には「作って売る」以外のビジネスの実現が必要だと考える。例えば、リセール、リメイクといった点についてはどう考えるか。

バティ:トーマス・バーバリーはわずか21歳という若さでバーバリーを設立した。衣服は耐久性があり長持ちし、イギリスの気候から人々の身体を守るためにデザインされるべきという信念のもと創業された。トーマスが開発した耐久性があり耐候性の高い素材ギャバジンは、レインウェアに革命を起こした。それはバーバリーのトレンチコートが世代を超えて受け継がれていくほどに長持ちするデザインであることを意味します。これはバーバリーがデザインするものは全て時を超えて持ち続けられるものであるという創業以来継続する精神だ。さらにわれわれは、商品がさらに長く使われるよう、ラグジュアリーなアフターケアサービスを提供している。既存のリペアサービスに加え、新しくトレンチ・リフレッシュ・プログラムを試験的にロンドンで立ち上げた。顧客を招き、社内のエキスパートと共に、トレンチコートを診断するセッションを行うこのプログラムを通じて、ギャバジンのトレンチコートに対して、さらに環境に優しく、われわれのリペアやリプレイスメントの技術をさらに広げる方法を見出した。またグローバルで、レザーの復元サービスを試験的に行っている。バーバリーのレザー商品をより長く使ってもらえるよう、レザーのコンディショニングを無料で提供している。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

業界に贈るZ世代の声 ファッション系サークル所属の大学生がサステナブルを語る

「WWDJAPAN」9月20日号は、ファッション系のサークルに所属する大学生とタッグを組んで、Z世代のファッションやサステナビリティに関する意識に迫りました。青山学院大学、慶應義塾大学、上智大学、早稲田大学から生まれた団体の活動内容や業界への思い、お気に入りのアイテムなどを紹介します。ファッションが好きだからこそ洋服の大量廃棄問題や環境への負荷について、学生目線で「できることはないか」と考える学生…

詳細/購入はこちら