ファッション

パリコレはサステナブルになれるか? 主催団体がエコデザイン支援ツールをブランドに提供

 本格的なファッションショーの再開にあたり、リアルイベントにおける環境問題への配慮が話題に上っている。そんな中、数年前からこの問題に取り組んできたフランスオートクチュール・プレタポルテ連合会(Federation de la Haute Couture et de la Mode以下、サンディカ)は、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)参加ブランドが環境への影響を測定するための2つの新たなデジタルツールを発表した。フランス服飾開発推進委員会(DEFI)の出資を受け、サンディカと共に開発を担当したのは世界的な会計コンサルティング企業のプライスウォーターハウスクーパース(PRICEWATERHOUSECOOPERS)。今年秋の本格ローンチを計画している。

 一つ目のツールは、ショーやプレゼンテーションなどのイベントに特化し、パリコレの環境的、社会的、経済的な影響を測るもの。ブランドが、制作会社との契約からキャスティングやフィッティング、デジタルコミュニケーションまでイベントの全段階を網羅する約120のKPI(重要業績評価指標)を設定するために役立てられる。このツールにより、参加ブランドはイベントの開催前に計算を行い、環境負荷の軽減や社会的影響の最適化のためにふさわしい選択ができるようになるという。またブランドは、その算出結果を非公開にしておくこともできるが、詳細を明かすことなく、パリコレ全体の負荷を計測するためにパフォーマンスのスコアを提供することも可能だ。同開発プロジェクトの運営員会は、「ディオール(DIOR)」や「クロエ(CHLOE)」のショーを手掛けるビュロー・べタック(BUREAU BETAK)、PR会社のDXL、パリコレの主要会場の一つである文化施設のパレ・ド・トーキョーで構成。ブランドやイベント制作会社からPR会社、モデルエージェンシー、関連機関まで、パリコレに携わる幅広いステークホルダーが開発に携わった。パスカル・モラン(Pascal Morand)=サンディカ会長は、同ツールについて「シンプルでちょっとした遊び心があるだけでなく、すぐに結果を算出できて、より良い取り組み方を提案できるようなものを目指した」とコメント。将来的には、パリだけでなく世界のファッションイベントの主催者にも提供される予定だ。

 もう一つは、企業が業界のバリューチェーン全体の環境的及び社会的影響を測定できるようにすることで、コレクションのエコデザインを支援する管理ツール。あらゆる規模のブランドがエコデザインのアプローチを全面的に取り入れられるようになるという。同ツールはフランス・モード研究所(Institut Francais de la Mode、IFM)と共同開発によるもので、ローンチ前にいくつかのメゾンが試験的に導入。技術委員会には、DEFIやフランス・ウィメンズプレタポルテ連合会(Federation Francaise du Pret a Porter Feminin)などの業界団体、素材見本市のプルミエール・ヴィジョン(Premiere Vision)などが名を連ねる。まずはサンディカ加盟ブランド向けに提供されるが、将来的にはアパレル業界で幅広く利用される可能性もあるという。

 サンディカが環境問題に対する取り組みに着手したのは、19年のこと。現在はさまざまなブランドで利用できる公式会場の設置や、市内の会場を巡るシャトルや自動車の電動化、廃棄物のリサイクル、セットの再利用などに取り組んでいる。今回のツールも、19年9月に開発を確約していたものだ。モラン会長は、「私たちには世界的なリーダーシップを発揮する義務がある」と社会的・環境的側面におけるパリコレの役割について話す。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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