サステナビリティ

ロンハーマンがサステナビリティ・ビジョン発表 30年までにCO2排出実質0へ

 ロンハーマン(RON HERMAN)はこのほど、事業戦略におけるサステナビリティのビジョンを定め、具体的な数値目標を含む4つの方針を発表した。5月末から6月頭にかけてサザビーリーグ本社で開かれた2021-22年秋冬シーズンの展示会場に大きなパネルを設置し、メディアや取引先、スタッフなど関係者にわかりやすくそのビジョンを伝えた。
 
 同社はサステナビリティな事業を推進するために、①「環境」②「コミュニティ」③「顧客」④「チームメンバー」の4つにフォーカスする。①「環境」は、2030年までにロンハーマン事業のCO2排出量(スコープ1、2)を実質ゼロにし、使用電力も可能な限り削減することを宣言。そのために事務所・店舗の電力を再生エネルギーに転換し、自家発電も検討する。また、取引先や取り扱いブランドの排出量も含むことを意味する、CO2排出量のスコープ3についても共同で可能な限り削減する。再生可能エネルギー導入店舗は2019年には0店舗だったものを21年には5店舗、30年には24全店とする計画だ。アパレルの大きな課題である余剰在庫については2023年までに全セールを廃止し、かつプロパー消化率80%を目指す。やむを得ず残った在庫はアウトレットなどで消化するビジネスモデルを構築するとともに、循環型の新規事業も検討している。また、オリジナル商品については主要素材のサステナブル比率100%を目指す。

 ②「コミュニティ」では、他業種との連携による活動で大きな社会的インパクトを創出したり、地域社会とのつながりを深めたりといった目標を掲げる。そのために、オリジナルや飲食部門のサプライヤーを可能な限り開示。取引先との協業で環境負荷低減にアクションを起こす。③「顧客」は、環境と社会に配慮した選択肢を提供することを重視し、サステナブルな商品提供やイベント開催、カフェでのべジタリアンやビーガンのメニューの用意、店内での給水所の設置などを行う。④「チームメンバー」は、定期的にスタッフエンゲージメント測定を匿名で行ったり、スタッフと管理職の相互評価を取り入れたり、研修・キャリア開発に投資するなど持続可能な労働環境整備を進める。

 ビジョンのスローガン“ラブ フォー トゥモロー(LOVE FOR TOMORROW)”について根岸由香里ロンハーマン事業部長兼ウィメンズ・ディレクターは、12年前のオープン当初から掲げてきたメッセージ “トゥデイ イズ ビューティフル(TODAY IS BEAUTIFUL)”の延長線上にあると語る。「サステナビリティについて学び始めたら、“トゥデイ イズ ビューティフル”と毎日胸を張って言い続けるにはこのままじゃダメだ、行動を起こさなくちゃと強く思った。掲げてきたもう一つのメッセージ“ハピネス イズ ザ ゴール(HAPPINESS IS THE GOAL)“もその先にある」。そこでまずは経営陣がセミナーなどを通じてサステナビリティについて学んで社内に共有。1月にはサステナビリティ実行部を創設してビジョン策定を準備してきた。ポイントは環境問題だけではなく“人”にも焦点を当てている点だ。「サステナビリティというと真っ先に思い浮かぶのは環境だと思うが、持続可能な社会を目指すなら持続可能な会社でないとそもそも目指せない」と藤田トラヴィス恭輔サステナビリティ実行部マネジャーは言う。

 根岸事業部長は、「動き始めたら、アパレルだけでは解決できないことも多いと気付いた。再生可能エネルギーを推進している人やNPO、新しい素材を開発する研究者、行政など異業種の人たちと関わり合わないと目標を達成できない」と言う。発表したビジョンに具体的な数値目標が数多くのも、こういった学びの上に組まれたものだからだ。ロンハーマンの売上高はオリジナルブランドと仕入れがほぼ半々。オリジナルについては2025年までに主要素材のコットンはリサイクルもしくはBCIコットン、GOTS認証に、ポリエステルとナイロンは100%リサイクル繊維に切り替える。「まずは自分たちができることから始め、情報は独り占めすることなく開示してゆく」と根岸事業部長。約300ある取引先とは対話を重ね、ビジョンに沿った取り組みを求めてゆく。新規取引に関してはビジョンに沿った商品・ブランドだけを扱う。先に掲げた“店頭セール廃止”の方針は2023年には実現する見通しだ。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

経営者の皆さん、“脱炭素”を語れますか? 電力と水とファッションビジネス

6月21日号の「WWDJAPAN」は、サステナビリティを切り口に電力と水とファッションビジネスの関係を特集します。ファッションとビューティの仕事に携わる人の大部分はこれまで、水や電気はその存在を気にも留めてこなかったかもしれません。目には見えないからそれも当然。でもどちらも環境問題と密接だから、脱炭素経営を目指す企業にとってこれからは必須の知識です。本特集ではファッション&ビューティビジネスが電力…

詳細/購入はこちら