ファッション

「バーバリー」のアウトドアと「シモーン ロシャ」の反抗心がヒット ロンドン後半をざっくりプレイバック

 2021-22年秋冬シーズンのロンドン・ファッション・ウイーク(LONDON FASHION WEEK 以下、LFW)が2月19〜23日に開催されました。ここでは3日目から最終日までに発表された中から印象に残ったブランドを4つ選出。ウィメンズコレクション担当の大杉真心「WWDジャパン」記者と、コレクション取材2シーズン目の美濃島匡「WWDジャパン」記者が対談形式でリポートします。

屋外への欲求を服に込める

美濃島:「バーバリー(BURBERRY)」は今季、初めてメンズに特化したコレクションを発表しましたね。コレクションは“エスケープ“と題し、アウトドアへの欲求や自然と人間のつながりを表現したそうです。

大杉:お家時間が長かったから、心も体もエスケープが必要だよね。チーフ・クリエイティブ・オフィサーのリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)は、外出自粛で屋内に閉じこもっているときにアウトドアを夢見たそう。そこに「バーバリー」のルーツである20世紀初頭のイギリスのクラフツマンシップと、当時人々が未開の土地を求めて旅したアウトドア・ムーブメントを着想源にしたんだって。

美濃島:後ろ身頃がハリントンジャケットになったトレンチコートや、クロップド丈のダッフルコートなど、クラシカルなアイテムの再構築が目立ちました。スカートとパンツのレイヤードはカジュアルな提案で押し付けがましさがゼロ。多様性を気負わず発信するリカルドの姿勢に共感を持ちました。

大杉:多様性といえば、エディ・キャンベル(Edie Campbell)ら3人の女性モデルがメンズウエアを着て登場していたね。ミンクやフォックスのファーをプリントで表現したシャツをハンサムに着こなしていたのが印象的でした。他にもバンビの耳のビーニー(ニット帽)、など遊び心のあるアニマルモチーフが隠れていたね。

大杉:あと、招待状と共にキャンピングチェアが会社に届いて驚いた(笑)。「これに座って見てね」ということだよね?チェアを受け取った世界中のインフルエンサーたちが野外撮影にチャレンジしていました。日本からは元「シマ(SHIMA)」の美容師でモデルの高橋侃さんが、浜辺で撮った素敵な画像をインスタグラムにアップしていましたね。

美濃島:僕も座ってみたところ、デスクチェアよりも映像に没入できた気がします!(笑)

炎の謎演出にユーザー困惑?

美濃島:「トウキョウ ジェームス(TOKYO JAMES)」は終始服が燃えさかる謎動画で、インパクト大。デジタルコレクションも2シーズン目で簡潔な映像が増えてきましたが、こういう振り切った動画はかえって記憶に残りますね。名前が「トウキョウ」だったので気になって検索してみましたが、デザイナーの本名ということで日本とは直接関係なさそうですね。大杉さんはこのブランドご存知でしたか?

大杉:昨シーズンはミラノ・ファッション・ウイークに参加していたので名前は知っていましたが、コレクションを見るのは初めてでした。ナイジェリア系イギリス人のイニエ・トウキョウ・ジェームス(Iniye Tokyo James)によるブランドで、高級紳士服店が建ち並ぶサヴィル・ロウの伝統的な仕立てをベースに、ナイジェリアの素材や装飾を加えているのが持ち味だそう。

美濃島:「強い男(The Strong Man)」をテーマに、デザイナーのルーツであるナイジェリアのヨルバ民族の視点での男らしさを表現していました。テーラードジャケットのインナーにはスパンコールのトップスを合わせて、“男らしさを獲得するまでの格闘”を感じました。

大杉:今回は服がCGの炎の演出に負けちゃった気がするね。「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」や「テベ・マググ(THEBE MAGUGU)」「ケネス イゼ(KENNETH IZE)」「アルワリア(AHLUWALIA)」などアフリカのルーツを持つデザイナーが注目を集める中、彼はどんなポジションを築いていくのか、今後も見ていきたいと思います。

ガーリーだけじゃない!強さを増した「シモーン ロシャ」

大杉:「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」がスマッシュヒットを打ってくれました!“fragile rebel(脆い反逆者)” をキーワードに反抗的な要素が加わって、これまでのガーリーな世界観から一歩進んだように思います。得意とするチュールや刺しゅう、パールなどの甘めの素材に、レザーがうまく合わさって可憐なのに力強い。こんな大胆に膨らんだパフスリーブのライダースジャケットは見たことないです……!とても高揚しました。

美濃島:めちゃくちゃかわいかったですね。僕もフリルがついたライダースジャケットのファーストルックで引き込まれ、その後も毒々しさとガーリーな世界観を掛け合わせたスタイルに釘付けになりました。白シャツにニットやジャケットを合わせた学生服のようなルックでは、襟を誇張したりブーツをゴツくしたりして、ルールに縛られない反骨的なムードを感じました。

大杉:どのルックも「シモーン ロシャ」らしさがちゃんとあって、個性が際立っている。元々ドレスとアクセサリーが得意な印象でしたが、「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」との協業を継続してアウターのバリエーションが年々増えているように思います。

美濃島:動画では、協会の厳かな空間と鳴り響く重低音、モデルたちの挑発的な表情だけで構成されていました。服が強いから変わった演出は必要ありません。3月には「H&M」とのコラボ発売も控えていて、国内人気も急上昇しそうですね。

“らしさ”を取り戻しデジコレリベンジ

美濃島:「ザンダー ゾウ(XANDER ZHOU)」に“リベンジできたで賞“を送りたい!前回は普通のランウエイショーの映像で拍子抜けしちゃいましたが、今回はバーチャル感全開&商品説明のような無機質なムービーで「これこれ!」とテンションが上がりました。

大杉:トレッドミル(ウォーキングマシーン)やターンテーブルを使って、服がいろんな角度から見られてよかったですね。モデルの動きもロボットのようで、近未来的なイメージが統一されていました。

美濃島:脳みそのようなヘッドピースが目立っていますが、服は思いの外ベーシック。安心を求める時代のムードに呼応したのでしょうか?赤から青、グレーまで体温によって色が変化するトラックスーツをはじめ、ジップアップのチャイナシャツや穴空きパンツのレイヤードなど目をこらしてしまうでもギミックが満載でした。マルチポケットのシャツやロボットのようなアームグローブなど、アーカイブを再解釈したアイテムも多かったです。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

ストリートスナップで探る22年春夏の「売れるトレンド」/追悼:ヴァージル・アブロー

「WWDJAPAN」12月6日号は「2022年春夏リアルトレンド特集」。緊急事態宣言が明けて約2カ月がたち、都内の繁華街にもにぎわいが戻ってきました。ファッションは世相の写し鏡。世の中の20-30代の女性は今、どんな服装をしているのか?編集部は街に繰り出し、ストリートスナップを実施しました。裏表紙からは、急逝したヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の追悼特集。「オフ-ホワイト c/o …

詳細/購入はこちら