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障害児との交流で認識したファッションの力 エディターズレター(2020年10月30日配信分)

※この記事は2020年10月30日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editor's Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

障害児との交流で認識したファッションの力

 障害児教育を専攻した大学時代から今に至るまで、障害のある子どもと、毎週特定のひと時を過ごすボランティア活動を続けています。「ご立派ですねぇ」と言われますが、慈愛・博愛などの気持ちはあんまりなく(笑)、ケンカもするし、「アナタのこと、キライ」と言ったことさえあります。映画「こんな夜更けにバナナかよ」は実話だそうですが、若かりし頃だったら(今でも!?)、間違いなく大ゲンカしていたでしょう。学生の頃は時々、同じ障害児教育専攻かつ教員養成系の大学で学んでいる友人(私の大学は、社会システムを作ることを学ぶプログラムが多く、教員免許の取得は必須ではありませんでした)から「子どもたちとケンカするなんて!!」みたいなコトを度々言われましたが、「だって仕事じゃないもの。どちらかと言えば、友人。なら、ケンカだってするでしょう?」と思っていました。当時から“めんどくさいヤツ”です(笑)。

 子どもには、比較的好かれていたと思います(笑)。理由は、なんでしょう?「人柄」と言い切りたいところではありますが、「服装」って案外大きかったのではないか?と思います。「ナンバーナイン」のパーカに「ヴィヴィアン・ウエストウッド」のショートパンツ、「ダーク ビッケンバーグ」のブーツで鬼ごっこをしていました。メタルヒールのブーツでアスファルトやリノリウムの床を走ると、めちゃくちゃうるさかったのを記憶しています。同じボランティアに参加する友人とは、明らかに違いました。子どもにとっては、好奇心を掻き立てられる存在だったのかもしれません。「ナンダ、コイツは???」だったのでしょう(笑。コレは今も同じだし、健常者の方にとっても「ナンダ、コイツは???」かもしれません)。振り返れば、「ファッションから生まれるコミュニケーション」の力を強く感じたのは、こんな時だったのかもしれません。

 リンク1本目の記事中の「ファッションは視覚的言語の一つ」という文章を読んで、そんなことを思い出しました。障害者向けのランジェリーに「セクシー」の要素が含まれていることも、賛成です。大学の頃から現在に至るまで、障害者でも健常者でも“恋話”はメチャクチャ盛り上がります。皆さんは、障害者向けのセクシー下着「インティメトリー」を身に着けた障害者の写真に対して、どう思ったでしょうか?私は、「やるね!!」と思いました。セクシー路線バリバリだった「ヴィクトリアズ・シークレット」の低迷を思い出す方もいるでしょう。アレは「セクシー」のあり方が画一的だったこと、「セクシー」以外の選択肢を提供しなかったことに問題があったと考えます。

 現在週1、2回のペースでボランティアに伺っている障害児との付き合いは、早いものでもう8年(と聞いて、お母さんと驚愕w)。彼は今、中学3年生です。お家にお邪魔すると、「トミー ヒルフィガー」の障害者向けライン“アダプティブ”を着ている機会が増えています。その存在を伝え、試しにポロシャツを1枚買ってみたところ、メチャ良いんだそうです。確かに人工呼吸器をつけている彼にとって、首回りがマグネットボタンの“アダプティブ”のポロシャツは、従来品に比べれば「めちゃ楽」。家族とのリンクコーデも楽しめます。今年のクリスマスは、家族で「トミー ヒルフィガー」のリンクコーデをする予定だそう。お呼ばれする私も、そろそろ買いに行かなくちゃなのです。

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