ファッション

障害者向けランジェリーブランド創業者が語る “セクシー”な選択肢の必要性

 障害者向けランジェリーブランド「インティメトリー(INTIMATELY)」の創業者であるエマ・バトラー(Emma Butler)は、横開きのショーツやマグネット・面ファスナーを使ったブラなど、機能的かつファッショナブルでセクシーな選択肢を増やす取り組みを行っている。バトラーの母親は慢性的な痛みを伴う線維筋痛症があり着替えを手伝う必要があった。そして、身体的に障害のある人に向けたアイテムはファッション性に欠けるものが多い。彼女の母親はそれを「人間性を否定される体験」と表したという。バトラーはその後大学で勉強するかたわら友人や母のために洋服作りを始め、同ブランドを設立。障害のある女性が本当に着たいと思うものを作ることを目標としている。

 「すべての女性に選択肢があることが大切。世の中のたくさんの女性が障害によって好きな洋服を着られていない。そういった人々に向けて、他の人同様に洋服を作ることは大事なこと。下着の分野で働くことはとても興味深くて、自己肯定心や愛、性的魅力、セクシーと感じることと深く関わっている。ファッションは視覚的言語の一つ。自己表現の方法でもあるし、自分自身について提案できるもの」と述べた。「インティメトリー」の公式サイトには障害のある女性が自身の体験を共有する場所も設けてあり、バトラーはそうすることで「彼女たちも恋愛体験や性的交流に関してのトピックに“含まれている”と感じる」という。

 また商品開発に関しては「誰でも簡単に着られるアイテムを制作すると同時に、ファッション性にも妥協していない。医療品のようなものやおむつのようなデザインばかりを用意したくない。そして価格設定も手ごろにしている。障害のある人は大体、健常者より収入が少ないから」とコメント。さらにD2Cであることにこだわりを持っている。「オンラインの場合私たちもどこからでも発送できるし、消費者も自宅から出なくて良い。開けやすい箱を使用して、最初から最後まで良い体験を提供するようにしている」と述べた。

 障害者権利運動家のキーリー・キャットウェルス(Keely Cat-Wells)もまた、「障害があると、店舗で洋服を見つけることはすごく難しい。時には入ることすらできない。多くの企業は一つのサイズがみんなに合わないことを知っている。でも一つのデザインがみんなに合わないということを理解できていない」と語る。

 ファッションシーンではリアーナ(Rihanna 本名:ロビン・リアーナ・フェンティ)によるブランド「サヴェージ×フェンティ(SAVAGE X FENTY)」が、新作コレクションのショーにたびたび障害のあるモデルを起用している。アメリカンイーグル(AMRTICAN EAGLE)の下着ブランド「エアリー(AERIE)」も車椅子に乗ったモデルを、“ボディー・ポジティブ”の考えを提唱するキャンペーンのロールモデルに起用した。しかし近年のインクルージョン(包括性)を促進する流れを受けてもファッションショーや宣伝素材に障害のある人を起用するブランドは少数で、障害のあるデザイナーはさらに少ない。

 キャットウェルスは今後、「もっと多くのランジェリーブランドが障害のある消費者に寄り添い、“セクシー”がみんなのものだと表現していけば世の中の風潮を少しずつ変えられるかもしれない」と述べた。

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