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子どもの頃に「覚悟」を身につけられたら エディターズレター(2020年8月31日配信分)

※この記事は2020年8月31日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

子どもの頃に「覚悟」を身につけられたら

 一人っ子の習い性だと思っていますが、子どもの頃は大人の顔色を伺っていました。いや、ちょっと違うな。「伺う」というより、「察する」のが得意でした。「この人は今、僕にコレを望んでいるな」という“勘”が働くタイプ。例えば「何が食べたいの?」と聞かれた時、実は刺身などあっさりしたものが食べたかったのに、「ハンバーグ!」とか「カレーライス!!」って言っちゃうコドモ。人様の御宅なのに、ご家族が探している文房具を誰よりも早く見つけるのも得意でした(笑)。「察する」ので、受験勉強も得意だったんです。アレって、先生や両親、ひいては日本の教育界が望む知識を身につけることですから。下のリンク1本目で知った、菅付さんの高校時代の成績にはビックリ。私は高校3年生の2学期までは、同じく地元で一番の進学校で400人中10番くらいを行ったり来たりでしたが、2学期中盤からイジメに遭って、学校に行かなくなって、成績が急降下して今に至っています(笑)。

 イジメに遭った原因は、「察する」のが苦手な人を、つまり当時は受験勉強が苦手だった人を、まぁまぁバカにしていたからです。今思えば我ながら、実にイヤなヤツでした。「察する」のが得意なので、「俺、勉強できるし、このくらいやっても怒られないよね」という予知能力も高かったんです。結果、自分だけルールを逸脱しても、怒られないからますますつけ上がる。それが、部活動が終了して一気に転落というカンジでした。

 その後は、イジメの原因は「つけあがった」からなのに、最終的には「察しすぎた」からだと思うに至り、大学の自由な校風も手伝い、「察する」ばかりに価値を置くことが少なくなりました。とはいえ、「察する」は習い性。なので現在は、察しつつも、察していないことを装い波風を意図的に立て、なんてケースも多く、「これは良いのか?それとも、自覚的なだけにタチが悪いのか?」なんて思っています。

 菅付さんの記事を読み、「私の『覚悟』は、察しているのに察してないフリをして波風を立てていることかもなぁ」なんて思ったのです。そして菅付さんも、「リトゥンアフターワーズ」の山縣さんも、「覚悟を持つこと」の必要性を説いています。だとしたら僕の、「察しているのに、察していないフリをして波風を立てていること」も許されるのかなぁ?と思っています。どうでしょう?ま、「正々堂々言ったり、やったりしなさいよ」と言われれば、「おっしゃる通り」なのですが(笑)。そして10代のうちから「覚悟」に触れることができたら、残りの80年くらい「人生、幸せかもしれないなぁ」と思ったのです。「察しているのに、察してないフリをして」なんてまどろっこしいコトから解放されますからね。

 14歳の少年が「勇気が必要なんですね」と話した後、菅付さんは、「でも何かを出したら、(中略)知恵をくれることも、人を紹介してくれることだってある」「なんにせよ強い願いを込めて出すと、反応してくれる」と続けます。そうなんですよね。共感できてもできなくても、強い思いは引っかかる。逆を言えば、強い思いがなければ引っかからずにスルーしちゃう。若いうちから、それを知り、その「覚悟」を持つことは、将来を大きく変える上で大事なコトです。

 「グッチ」のアレッサンドロ・ミケーレは2020-21年秋冬メンズで、画一的な男性観から解放されるため、幼年時代にタイムスリップすることを説きました。自身の原点に立ち返ったり、その頃を思い出しちゃう若者に声をかけたりは、パラダイムシフトが進む今こそ大事なのかもしれません。

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