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買収撤回のLVMHが反撃提訴へ 「ティファニーの訴訟提起に驚いた」

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は9月10日、買収を予定していたティファニー(TIFFANY & CO.)社と同社の経営陣に対して新型コロナウイルス禍の危機管理対応が適切でなかったとして訴訟を提起する準備を進めていると発表した。

 フランスの欧州・外務大臣からティファニー買収の完了日を2021年1月6日まで延期するよう要請されたことを理由にLVMHが「現在の情勢では、ティファニー社の買収を完了できない」と断念する姿勢を9日に示したことを受けて、ティファニーはLVMHを相手取り、合併契約の履行を求めて米デラウェア州裁判所に提訴していた。

 「ティファニーが当社を相手取り訴訟を提起したことに驚いた」という一文から始まるLVMHのリリースには、ティファニーがLVMHに対して合併契約の履行を求めて提訴したことには正当な理由がなく、長い時間をかけて訴訟準備をしていたのは明らかであると主張。ティファニーのこの行動はLVMHに対して不誠実であり、株主に誤解を与える形で伝わったため信頼が傷つけられたと主張した。

 前日の9日にLVMHを提訴したティファニーは、買収にあたって競争当局への届け出が必要なところ、LVMHが届け出を行わなかっただけでなく、買収対象企業の事業などに重大な悪影響を及ぼす事由が発生した場合において買い手が取引を中止できる権利を規定する、いわゆるMAE条項が契約に盛り込まれていることを理由に契約を破棄しようとしていることに異議を申し立てていた。これに対してLVMHは、ベルギー・ブリュッセルで行われる届出申請は予定通り、数日以内に実施され、この件についてティファニー社も把握しているはずだと反論する。ティファニーの主張は「根拠のない批判で、LVMHは法廷で立証していく」とコメントした。

 また、LVMHはこれらに加えてティファニー社の現在の経済状況と新型コロナウイルス禍における危機管理の手腕を詳細に調べた結果、2020年上半期の業績と通期予想は大いに失望する内容で、同期間のLVMH傘下のブランドと比較しても明らかに劣っているという。また、ティファニーが損失を出していた時期にも配当金を分配していたことなどを挙げ、「ティファニーは通常取られるビジネスの過程を踏んでいない」と批判した。以上のことからティファニー社と同社経営陣の判断は適切でなかったため、MAE条項に抵触すると主張する。ティファニー社は「新型コロナウイルスや米国内の不安定な社会情勢を無理やり引き合いに出して当初予定していた価格での買収を取りやめようとしているにすぎない。MAE条項は狭義に定義されるもので、LVMHの主張する新型コロナウイルスや社会情勢はMAE条項に抵触するかどうかを検討するまでもなくMAE条項の対象に含まれない。むしろこの期間中、ティファニーの経済状況は、LVMHを含む他のラグジュアリー企業と比べても良好であった」と主張しており、両者で主張が食い違っている形だ。

 LVMHはリリースの最後を「以上の理由から、ティファニーの買収を完了する適切な条件が満たされていないと判断した」と締めくくっている。

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