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エスティ ローダーの第3四半期は新型コロナの影響で赤字転落もデジタルは2ケタ増、中国が復調の兆し

 エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)の2020年1〜3月期決算(第3四半期)は、売上高が前年同期比10.7%減の33億5000万ドル(約3551億円)、営業利益は同83.9%減の1億900万ドル(約115億5400万円)、純損失は600万ドル(約6億3600万円)の赤字(前年は5億5700万ドル(約590億4200万円)の黒字)だった。地域別で見ると、北中南米の売り上げは同22.8%減と最大の下落を記録し、そのほかヨーロッパ・中東・アフリカは同6.2%減、アジアパシフィックは同4%減だった。減収、純損失は新型コロナウイルスの影響によるもので、長きに渡るELCの成長にブレーキが掛かった。

 コロナが短期間で深刻な経済的ダメージをもたらしている一方で、ELCのファブリツィオ・フリーダ(Fabrizio Freda)=最高経営責任者(CEO)は、いち早く新型コロナが収束する中国市場の景気回復の兆しを前向きに捉えている。「中国市場は速いペースで復調し始めている。このような状況下で明確なことは、(通常生活に戻り始めている中で)EC売り上げが急激に伸長していることだ。消費者の多くは、まずは愛用、リピートしている製品を買い足している」と話し、「エスティ ローダー」の「アドバンス ナイト リペア」「ドゥ・ラ・メール(DE LA MER)」の「クレーム ドゥ・ラ・メール モイスチャーローション」などの看板製品に期待を寄せる。

 デジタルの売り上げは他地域でも伸び、第3四半期の売り上げは2ケタ増を記録。「ミレニアル世代だけでなく、50代以上もオンラインでショッピングをするようになっている」と話し、インスタグラムなどのSNSを活用したソーシャルセリングにも注力してきたために、「今後もEC売り上げは飛躍的に伸びるだろう」と期待する。また、“セルフケア”をうたう製品プロモーションも積極的に行い、その結果スキンケアの売り上げに貢献しているという。同期間ではメイクアップの売り上げが同21.6%減、フレグランスが同11%減だったのに対し、スキンケアは同1.3%減と最も健闘した。

 一方で、ポストコロナにおける実店舗の復調には時間が掛かるという。「店頭の売り上げが戻るには、(オンラインよりも)長く時間が必要だろう。店舗の営業再開そのものにも時間やコストが掛かる上、消費者が実店舗でショッピングする意欲が戻るにもしばらく必要だろう」。百貨店チャネルをサポートする意向を見せる一方で、百貨店が復調するのにも時間が掛かると指摘する。特に北米では日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用を申請したニーマン・マーカスなど、ここ数年苦戦してきた百貨店は今回のコロナで大打撃を受けている。しかし、北米におけるプレステージビューティのニーズはコロナの影響を耐え抜くと見ている。また、トラベルリテールの復調も、21年度以降になると予測する。

 また、同社はフリーダCEOや名誉会長の給料カットなどを行いコスト削減に取り組んでいる。最もコストのかかる広告費や旅費、雇用費などは既に削減しており、オフィスの改修費用を含む設備投資費を2億5000万ドル(約265億円)削減する。また、銀行からの融資や7億ドル(約742億円)の無担保優先保債権の発行などで22億ドル(約2420億円)の資金を調達し、第4四半期の経費を5億~6億ドル(約530~636億円)抑える見通しだ。

 ELCこれまで、医療従事者への手指消毒剤の寄贈や国境なき医師団への寄付など、コロナに関連する慈善活動を行っているほか、コロナの影響を受けた従業員のために、同社とローダーファミリーが出資するELC従業員扶助基金(ELC Cares Employee Relief Fund)の設立を発表している。

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