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追記:「H&M」が透明性で1位に スコア0%というブランドも

【追記7月13日】ファッションレボリューションジャパンはこのほど、「ファッション透明性インデックス」の日本語翻訳バージョンを公式サイト内で発表した。今年で5回目を迎えた同インデックスだが、日本語に訳されたのは今回が初めて。

 「H&M」が「ファッション透明性インデックス(Fashion Transparency Index)」で1位にランクインした。ファッション関連企業の透明性を評価するファッション レボリューション(FASHION REVOLUTION)による同インデックスは、ファッション関連大企業を対象に250のブランドの透明性や労働条件を評価し、ランキング形式で発表する。

 評価の際の主たる指標には、動物福祉、生物多様性、気候、デュー・デリジェンス(状況に対する正当な注意義務)、強制労働の有無や労働者の安定した生活を保障するための賃金などの項目があり、5万5000のデータポイントによってランク付けされる。調査対象となった250のブランドは、年間売上高が4億ドル(約428億円)超の欧州、南北アメリカ、アジア、アフリカを拠点としたスポーツウエア、ラグジュアリー、ハイストリートブランドだ。

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、社会環境への影響や注文のキャンセルなどバリューチェーンにおける問題が浮き彫りとなったこともあって、ファッション レボリューションのキャリー・サマーズ(Carry Somers)=オペレーションズ・ディレクターは同インデックスのさらなる重要性を強調した。なお、バリューチェーンとは素材調達から商品やサービスが顧客に届けられるまでの企業活動の連鎖を、モノの連鎖だけではなく、価値の連鎖として捉えたものだ。

 サマーズ=オペレーションズ・ディレクターは4月21日に行われたオンラインの記者会見で、「今回の危機によって業界内の組織上の問題が明るみに出たと同時に、システムの脆さも露呈した。各ブランドは何十年もの間、より少ないコストで生産することを追い求めて、工場をパンク寸前まで稼働させてきた。その結果として、労働者の賃金や権利が搾取された」と語った。

 また、ブランドの透明性や情報公開、およびサプライヤーとの関係性が規範として保たれていれば、非常事態ともいえる現況においても各自が責任ある行動を取ることができるという。

 今回の調査で「H&M」は、膨大なデータポイントに対して73%という最高スコアを記録している。同インデックスによると、70%以上のスコアを出したブランドは、社会と環境に関する活動の透明性を高めるための実際的な手段を明らかにしていたという。

 なお、スコア70%で2位に付けたのは「C&A」で、「アディダス(ADIDAS)」と「リーボック(REEBOK)」は69%で同率3位となった。なお、「リーボック」は「アディダス」の傘下ブランドだ。それに続いたのが「エスプリ(ESPRIT)」で64%、「パタゴニア(PATAGONIA)」と「マークス&スペンサー(MARKS AND SPENCER)」は同率の60%で続く形となった。

 同インデックスの平均値は23%だが、調査開始当初から評価されてきた98のブランドにおいては12ポイントの増加も見られた。「モンスーン(MONSOON)」が23ポイント、「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」は22ポイント、そしてセインズベリーズ(SAINSBURY’S)は19ポイント増だった。

 ラグジュアリーブランドで最もスコアが高かったのは「グッチ(GUCCI)」の48%で、前年度の40%からスコアを上げた。「グッチ」は唯一ポリシーとコミットメントの項目で満点を獲得し、同じく伊ブランドの「エルメネジルド ゼニア」も今回初めてサプライヤーの詳細なリストを公開した。

 ファッション レボリューションで制作担当部長とリポートの執筆を務めるサラ・ディティ(Sarah Ditty)は、「ファッションブランドの透明性は確実に上がっており、信用度の高い包括的なデータを提供できる余地はまだまだある。消費者にとっては商品購入の判断に役立つし、組合やNGO団体にとっては労働者や地球環境に有益なブランド活動を支援することにもつながる」とコメントした。

 しかし、今回調査対象となった250のブランドのうち半数以上はスコアが20%以下で、中にはスコアが0%のブランドもある。「バリー(BALLY)」「マックスマーラ(MAX MARA)」「トム フォード(TOM FORD)」「エリータハリ(ELIE TAHARI)」などがそれに当たる。

 ファッション業界の透明性においては、まだ大きく改善する余地がある。今回の調査では多くのブランドで透明性を高めるための行動を確認することができたが、サプライヤーの賃金に関するポリシーを公開したブランドはたったの6%にとどまった。それぞれのサプライチェーンで働く労働者に対して最低賃金以上の支払いを行っているブランドはわずか2%にすぎず、賃金データを公開したブランドは「パタゴニア」だけだった。

 ディティは、「このインデックスは主要ブランドが透明性をさらに高めていくための建設的な対話につながる。透明性は、企業活動が及ぼした影響への責任を問うための第一歩だ。
各ブランドに社会や環境問題に対して迅速かつ的確に責任ある行動取ってもらうためにも、毎年進捗度を測り、評価を続けていきたい」と語った。

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