ファッション業界のご意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回はアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」で知られるゴールドウインを掘り下げる。近年は右肩上がりの急成長が続いてきたが、8月6日に2027年3月期の連結業績を下方修正したことが、ニュースになった。直接的な理由は夏物衣料の販売不振だと伝えられるが、果てして一過性のものなのか。数値データを元に細かく分析する。
ゴールドウインの27年3月期第1四半期(4〜6月)が「ザ・ノース・フェイス」の販売不振で減収減益となって上半期(4〜9月)業績予想が下方修正され、発表翌日8月7日の株価は急落した。育成を急ぐ自前ブランド「ゴールドウイン(GOLDWIN)」の売り上げが計画に届かず、80.5%を占める屋台骨の「ザ・ノース・フェイス」の売り上げが減少に転じたのだから、成長期待がはがれてしまうのは必然だ。26年3月期で1047億円に達した「ザ・ノース・フェイス」はマーケットの飽和限界に至ったのか、「ゴールドウイン」は第二の主力ブランドたれるのか。過去に何度も挫折しても近年は順風満帆に成長してきたゴールドウインだが、再び壁に当たったのだろうか。
まさかの減収減益ショックから下方修正
8月6日に開示されたゴールドウインの27年3月期第1四半期(4〜6月)連結業績は売上高が235億9200万円と前年同期から1.2%減少し、営業利益は3億7100万円と同82.1%減少して前期の5分の1にも届かず、持分法による投資利益(21億7800万円)にかさ上げされた経常利益は25億9800万円となんとか同30.9%減に踏みとどまるというショックなものだった。四半期単位の減収は26年3月期の第1四半期(97.1%)、25年3月期の第3四半期(99.4%)もあったが営業利益が大きく落ち込むことはなく、今回は営業利益の大幅落ち込みに加えて大黒柱の「ザ・ノース・フェイス」の販売不振が要因というのが株式市場にはショックだったのではないか。
今第1四半期の売上高は前年同期から1.2%減少したが、ECは1.8%増、直営店のインバウンド売上比率も29.4%と1.3ポイント上昇しており、卸しを中心に「ザ・ノース・フェイス」の売り上げが減少したことが大きかった。カテゴリー別ではパフォーマンスが3.1%、ライフスタイルが2.8%、ファッションも0.8%減少しており、「ザ・ノース・フェイス」は前年同期比7億円、計画比では16億円落としている。ちなみに同期間の韓国ヤングワンアウトドア社(売上高の大半がゴールドウインからライセンス供与の「ザ・ノース・フェイス」)は堅調だったから、日本市場に限定された事情と思われる。
第1四半期の減収減益を受けてゴールドウインは中間期業績の下方修正に追い込まれた。売上高は当初計画の599億円から556億円に7.2%、営業利益は70億円から42億円に40.0%、経常利益は92億円から70億円に23.9%切り下げ、「ザ・ノース・フェイス」の売り上げは38億円も切り下げられた。
「ザ・ノース・フェイス」は飽和限界か
26年3月期で1047億2100万円と全社売上高の80.5%を占める「ザ・ノース・フェイス」は日本市場での飽和限界に達したのだろうか。それを検証するには世界での売上高と比較する必要がある。
「ザ・ノース・フェイス」は米国のVFコーポレーション(以下VFと略す)が所有するブランドで、欧米と中国はVFが直販しているが、日本はゴールドウインが地域(日本と韓国)商標権を取得して製造・販売し、韓国ではゴールドウインからライセンスを受けたヤングワンアウトドア社が製造・販売している。VFとゴールドウイン、ヤングワンの「ザ・ノース・フェイス」はデザインや価格が微妙に異なり、それぞれを使い分ける愛好者もいるようだ。
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