「カルバン・クライン コレクション(CALVIN KLEIN COLLECTION)」は、クリエイティブ・ディレクターのヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)による3回目のコレクションを2月13日(ニューヨーク現地時間)に発表した。
コレクションの会場となったのは、ハドソン・ヤードに位置する文化複合施設「ザ・シェッド(The Shed)」。ブランドのキャンペーンに度々出演しているブラックピンクのジェニー(Jennie)をはじめ、1980年代の「カルバン・クライン」の象徴的存在であったブルック・シールズ(Brooke Shields)、さらにリリー・コリンズ(Lily Collins)やダコタ・ジョンソン(Dakota Johnson)らが駆けつけ、フロントロウは熱気を帯びた。
赤い椅子をランウエイを囲むように螺旋状に配置し、無機質な白色光が会場を照らしている。どこか未来的で無駄のない空間は「カルバン・クライン コレクション」のミニマリズムな世界観と呼応し、期待感を高まらせた。
削ぎ落とすことで浮かび上がる美学
装うことで自らを鼓舞する服
コレクションの基軸を担ったのは、スーツをはじめとした「カルバン・クライン」に不可欠なアイテムたち。今シーズンはブランドが世界的に飛躍した転換期でもあった1970年代後半から80年代初頭にかけての原点の再訪から始まった。
ヴェロニカ・レオーニは、「力強い歴史を掘り下げると同時に、フォルムやクラフト、そして本質を守りながら、より純粋なシンプルさを追求した。70年代後半から80年代初頭にブランドが定義したエレガンスとスタイルの精神を継承しつつ、さらに引き締めた表現へと昇華させている。フォルムと身体の関係性に焦点を当て、その調和を探ることでエンパワーメントとラグジュアリーの想起を目指した」という。
削ぎ落とすことで本質に迫って身体美を追求したコレクションは、服と身体の関係性を際立たせていく。ブランド黄金期の美学を再構築したスーツやトレンチ、76年のアーカイブを再構築したデニム、ブルゾン、コート、ドレスは静謐な緊張をまとった。細身で直線的なシルエットを基軸に、張り出したショルダーラインのジャケットやドロップショルダーのコート、丸みを帯びたケープ、流れるようなドレープを効かせたトップスは、いずれも身体のラインを際立たせ、その美しさを引き出す。背中を大胆にカットアウトしたドレスや、バックスタイルのみをシースルー素材で仕立ててランジェリーを覗かせるドレス、しなやかな腕が際立つノースリーブのスーツは、服と身体の相乗効果を鮮明に示した。バックスタイルやウエストから覗くアンダーウエアは、単なる下着ではない。ブランドのDNAを“今”の感性へと昇華している。
削ぎ落とし、精度を高めた今季のコレクションの静かな高揚感は、豊かな素材使いと計算されたパターンワークによって生み出されている。都会的でニュートラルな色調が心地よい緊張をもたらし、その中に時折差し込まれる鮮やかな色彩がアクセントを添える。ドライな質感のウールや肉厚のボンディングサテン、リキッドベルベット、そして身体美を引き出すカッティング。それらすべてが、このコレクションの緊張感を支えている。
体を覆う服も、身体美を際立たせる服も、そこにあるのは自らの意思で見せ方を選び取る主体的な身体。削ぎ落とされた構造はその存在を肯定し、服と身体の関係性をより強固なものへと引き上げていく。ヴェロニカ・レオーニが表現した装いは、単なる装飾を超え、着る人をエンパワーする服だ。