
ビューティ企業では、長年蓄積してきた処方情報や研究データをアルゴリズムに学習させることで、最適な処方設計やコンセプト創出の精度が一段と高まってきた。こうした潮流を踏まえ、「処方開発・構想」「肌分析」「香り開発」の3つの視点から、ビューティ業界におけるAI活用の進展をひもとく。(この記事は「WWDJAPAN」2025年12月1日号からの抜粋です)
AIの卓越した情報処理力と予測精度は、美容業界の働き方や製品開発のあり方を確実に変えつつある。ユニリーバ(UNILEVER)は昨年12月、フレグランスのデザインと創作能力を強化するために1億ユーロ(約181億円)を投資すると発表した。フレグランス事業の研究開発を内製化し、AIを実用化することで、シャンプーや保湿剤、ボディーウオッシュ、デオドラント、洗濯用洗剤など日用品カテゴリーのフレグランス開発力を高める狙いだ。5月には、英ポート・サンライトに最先端の香料研究開発拠点を新設する計画に8000万ポンド(約164億円)を投資した。同施設には香料研究・イノベーションラボ、新しい香りを調合・開発する施設、製品テスト用の評価室などを備え、全体をデジタル化する予定だ。ロボットによる香料オイルのブレンドやリアルタイムのデータ取得、AIを活用した香料開発が可能となる。また外部の人材・専門家との連携や採用を進める方針を掲げる。リチャード・スレーター(Richard Slater)最高R&D責任者は、「新施設と熟練の調香師チームにより、ブランドにスピーディーに香りの知見とイノベーションを提供できる。パートナーとの協業を通じ、科学とAI、ロボティクスを駆使し、消費財における香り創出のあり方を再定義していく」と語る。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
