AI、特に人間のようなAIエージェントは、メディア業界や世の中をどう変えるのか?そのヒントをつかむべく、生成AIのプラットフォーマー、AIを活用しながらコンテンツやブランドを生み出すクリエイター、そして、先行してAIと向き合うイベントを開催するメディアに話を聞いた。最終的にはいずれも人間、HIとの価値を説いているのが興味深い。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月24日号からの抜粋です)
AIによってクリエイティブな
仕事はどうなっている?
チームメイトが全員プロのAIエージェントというブランド「ネイビーネイビー(NAVYNAVY)」を立ち上げて以降、自分がゼネラリストになっている感覚がある。これまで想像できなかったことが今は想像できるようになっているのかもしれないし、生成AIは日々レベルアップしているので、最近はデザイン画を描かなくても、指示だけで企画ミーティングに出せるデザインが「結構できちゃうな」という感じ。ただ案は出してくれるけれど、手を動かすのは私1人。壁打ち相手にはいいけれど、実際手を動かすときは、感情とともに手や口を出してくれる人間っていいな、と思う。
当初は、競合ブランドの売り上げデータを取り込むなどしたらMDの精度が上がると思っていたが、ネットの海に散らばるデータは玉石混交。何を信じたらいいのか戸惑っている。トレンドを押さえて売れるMDを組み立てようと思っていたが、「どのデータが正しいのか?」「どう活用したらいいのか?」までは分からない。「ネイビーネイビー」のデータがたまれば展望は見えるが、結局人が受け止め、解釈して、生かす必要がある。
当初AIエージェントによるブランドは「無機質」と思われていたが、「ターゲットカスタマーのAIエージェントと壁打ちして、働いている忙しい女性の洋服における困りごとを解決したい」と伝えたら感動していただけた。AIを活用しているからと言っても無機質にはならないし、人の感情は喚起できる。一方、AIさえ意外とエモーショナルだな、とも思っている。ファッションである限り人間がいないと成り立たないし、結局「ネイビーネイビー」は私が最終判断しているので私っぽい。ブランドには人間味があり、消費者も人の面影が見えた時に感動してくれるのだと思った。
そこで「ネイビーネイビー」ではこれから、(リアルな)お客さまとAIエージェントを活用した共創プロジェクトに取り組む。公募した5人くらいの消費者とAIエージェントと一緒に洋服を作るつもり。公募した1人は、AIを活用することで洋服を着る時の高揚感を届けたり、洋服を選ぶときの困りごとを解決したりしたいという思いに共感してくれた。その輪を1000人くらいまで広げることができたら、AIを活用した“超リアルクローズ”なブランドになるのではないか?と思っている。