次世代のファッション・ウイークを担う6都市を「WWDJAPAN」が選定。事情に詳しい専門家が、それぞれの特徴や展望について解説する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月17日号からの抜粋です)
屋内外の会場で一般人も観覧可能
ファッションで有名な都市には、それぞれ特徴がある。パリはオートクチュール、ミラノはラグジュアリー、東京はサブカルチャー、上海はイノベーション。そして、次世代のファッション都市であるタイのバンコクは“開かれた祝祭”だろう。バンコク・インターナショナル・ファッション・ウイーク(BIFW)が開幕すると、その中心であるサイアム地区全体が巨大なランウエイへと変貌するからだ。
2007年にスタートしたBIFWは、大型商業施設のサイアム・パラゴンやサイアム・センターなどを運営するサイアム・ピワット・グループが主催。今やアジア有数のファッションイベントに成長しており、デザイン、リテール、文化遺産が融合した総合芸術としてタイのソフトパワーを世界に発信する存在となっている。従来のファッションショーは、主に業界人を対象としたクローズドなイベントであり、入場には(一般人には入手困難な)チケットを必要とする屋内会場で行われることが多い。しかし、BIFWはサイアム・パラゴンの屋外イベント広場など一般客も観覧できる場所でも行われるし、登録すれば無料の入場パスをもらって屋内会場でショーを見ることもできる、“誰でも参加できる開かれたファッション・ウイーク”だ。会期中は人々の熱気や街のざわめき、ラグジュアリーブランドのショーウインドーなどが渾然一体となり、バンコクならではの華やかさと親しみやすさが共存する祝祭的な空間が出現する。25年10月9日から19日に開催された今回はさらに多くの観客を引きつけ、過去最大規模となった。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
