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連載 中国電脳コマース最新情報 第20回

時価総額8兆円超え、爆速成長の中国発ポップマート 強みは「ラブブ」だけじゃない独自IP戦略

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ネット通販やライブコマース、スマホ決済、ゲームなど、次々と世界最先端のテクノロジーやサービスが生まれている中国。その最新コマース事情を、ファッション&ビューティと小売りの視点で中国専門ジャーナリストの高口康太さんが分かりやすくお届けします。今回は世界中で超話題の「ラブブ」を筆頭に、爆速成長する中国発のポップマート(POP MART)を取り上げます。サンリオと時価総額で3〜4倍の規模を誇るポップマートの強みを徹底解剖します。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月11日号の転載です)

「ラブブ」旋風で世界を席巻

今、世界のファッションシーンで、あるキャラクターの人気が静かに、しかし爆発的に広がっている。ウサギのような耳と不敵な笑みが印象的な、中国発のアートトイ「ラブブ」だ。グッズ販売を手がける、中国のアートトイ企業のポップマートについて、ちょうど1年前(2024年8月19日号)に取り上げたときには「日本人は知らないが、世界で急成長中」といった存在だったが、今は違う。

K-POPアイドルグループBLACKPINKのリサ、歌手のリアーナなど、セレブがラブブのインスタ写真をアップしたことで人気に火が付いた。女性だけではなく、元サッカー選手のデビッド・ベッカムやNBAプレーヤーのジェームズ・ハーデンなど男性までこのトレンドに加わっている。そのため、海外情報に敏感な消費者の間でラブブ人気が広がった。あるハイブランドの銀座店の販売員によると、ラブブのチャームをバッグにつけている顧客が驚くほど多いという。

ポップアップショップ「ラブブ・ミニ・マーケット」を訪問して、日本での人気も強く実感することとなった。7月17日から8月5日までスカイツリーの「東京ソラマチ」で開催されたが、混乱を避けるために入場は抽選制に。行列した人を見ると7割が日本人だった。東京・原宿や大阪・心斎橋の店舗も訪問したが、昨年と比べると日本人の比率が大きく増えている。また、欧米人の姿も目立った。以前は外国人といっても、中国人と東南アジア系が大半だった。世界中で売れているラブブだが、その一部は中国人が買い集め、中国本土に転売されている。世界でヒットした後、中国でも人気に火が付いたためだ。そのため、いわゆる中国人転売ヤーが多いと予想していたが、それだけではなく日本人ファンが多いことも分かった。ちなみに店頭で奪い合いのケンカにならないよう、購入は抽選制だ。筆者の知人は18回応募したがすべて落選したと嘆いていた。

ブームによってポップマートの株価は1年前のほぼ6倍にまで急騰。時価総額は約6兆円(1香港ドル=18円で計算)で、あのサンリオの約4倍にまで跳ね上がった。1年前は「サンリオに追いつくか」が話題だったのだが、追い抜くばかりか大差をつけている。

「ラブブ」だけじゃない
他の独自キャラも急成長中

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