
機能性食品の業界団体カウンシル フォー レスポンシブル ニュートリション(Council for Responsible Nutrition)によると、米国の成人の74%が毎日サプリメントを摂取している。特にグミは、ビタミン・ミネラルサプリのカテゴリーで最も好まれ、急成長している形状の一つだ。また、安らかな睡眠のための“スリーピーガールモクテル”や、フレッシュな果物や野菜、パウダー状のサプリを加えた水“セクシー・ウォーター”ブームの台頭により、粉末や液体も一般的になっている。米「WWD」からピックアップした海外の最新トピックスを紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年10月28日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)
1. TikTokで急成長する
ウェルネス・トレンドTOP10
ウェルネスは、もはやマルチビタミンだけではない。山岳地帯で取れるミネラルで、抗酸化作用や抗炎症作用が期待できるシラジットなど、TikTokでは多様なウェルネストレンドが急成長している。美容トレンド予測会社、スペート(SPATE)のヤーデン・ホルヴィッツ(Yarden Horwitz)共同設立者は、「TikTokでは、消費者がホリスティック(包括的)なセルフケアに労力を費やし、体の健康とストレス解消、美容をシームレスに融合させるという現象が増加し続けている」と話す。
植物由来のサプリやスキンケアを手掛ける「ムーンジュース(MOON JUICE)」などのブランドにより、“スリーピーガールモクテル”のトレンドは継続。「ヴィオツーテープ(VIO2TAPE)」などで知られるマウステープは、コンテンツクリエイターによる睡眠の質とフェイスライン改善の宣伝効果で人気が上昇している。同氏は「ヒートレスカーラーやコラーゲンマスク、マウステープなどの夜間美容ツールを起床後に脱ぎ捨てる動画を投稿する“モーニングシェッド”というトレンドは、現在米国のTikTokで週平均1200万ビューを集めており、ウェルネスと美容習慣が日常生活にどれほど深く浸透しているかを示している」と述べた。
TikTokで急成長する
ウェルネストレンドTOP10の週平均ビュー
2. ビタミングミは
砂糖の大量摂取につながるリスクあり
ビタミンや栄養素を配合したグミ状サプリの市場が成長している。米国に拠点を置くマーケティング企業大手ニールセンIQ(NIELSENIQ)によると、グミ状サプリの年間売上高は18億ドル(約2682億円)近くに達した。サプリのエントリー商品として重宝される傾向にあり、年齢にかかわらず人気だが、砂糖の大量摂取につながるリスクは否めない。砂糖代替品を採用するブランドや、「グミ反対」を提唱するブランドもある。
ビタミングミは通常、1食分(一般的には2個)当たり1〜8gの砂糖を含み、一般的なキャンディーよりも多くの砂糖を含む商品もある。アメリカ心臓協会は1日の砂糖摂取量を、女性は25gまで、男性は36gまでに抑えることを推奨。一握りのビタミングミで、1日の推奨摂取量を容易に超えてしまうことには注意が必要だ。一方で砂糖代替品の登場により、カロリーが低く、血糖値を急上昇させない無糖のビタミングミの開発も盛んになっている。
グミは通常、保存のきく単一成分または低成分の配合が適しているほか、製造に加熱が必要なため、成分の投与量や生物学的利用能に影響を与えることも多い。一部のブランドは、グミがウェルネスに適しているかどうかを疑問視しているが、消費者のグミへのニーズや砂糖代替品の市場投入、子ども向けサプリの成長を考慮すると、専門家は同カテゴリーが減速するとは見ていない。
3. 妊活をサポートする
レモネード
米国に拠点を置く女性向けサプリブランド「リチュアル(RITUAL)」は9月、“妊活サポート3in1ドリンクミックス”(99ドル=約1万4700円)を公式ECとアマゾン(Amazon)で発売した。この発売に際した売上高は公表していないが、米「WWD」は以前、同ブランドの今年の売上高が2億ドル(約298億円)を超える見込みであると報じている。
カテリーナ・シュナイダー(Katerina Schneider)創設者兼最高経営責任者(CEO)によると今回の新作は、ライフステージに応じた女性の健康ソリューションを提供するというブランドの大きな使命を反映したもの。
シュナイダーCEOは、「統計によると、女性が30歳までに1回の月経周期で妊娠する確率は5分の1。40歳では20分の1まで下がる。人々の不妊に対する無力感を解消すべく、同カテゴリーに進出した」と述べる。不妊改善の成分については科学文献を掘り下げ、効果的な3つの成分を採用。「ミオイノシトールは正常な排卵サイクルと卵子の健康をサポートする。N-アセチルシステインは卵巣の健康に寄与。またコエンザイムQ10を補充すると、同成分の卵胞液のレベルを改善に導き、3つの成分で受胎可能性を向上させることが期待される」という。「リチュアル」は常に臨床的に研究された用量を処方に使用しているが、2030年までに各商品の臨床を自社で実施することを約束している。
4. 錠剤疲れによりパッチなどの
外用サプリが台頭
消費者の錠剤疲れが増加し、サプリに代わる形状へのニーズが高まる中、ビタミンや栄養素を経皮に注入するパッチやクリーム、スプレーなどの局所的サプリが人気を集めている。ニールセンIQによると、ここ1年間のパッチの売り上げは330万ドル(約4億9170万円)以上に達し、前年から100万ドル(約1億4900万円)以上増加した。同じ1年間の売り上げが18億ドル(約2682億円)であるグミと比較すると、パッチがサプリ市場全体で占める割合はまだ小さいが、3年前の約38万ドル(約5662万円)から急成長している。
パッチカテゴリーが確立されつつある現在、市場に出回っている商品のほとんどは、睡眠やストレスなどの核となるニーズを中心に分かりやすい成分を配合し、効果や使用例を反映するような名前が付いている。パッチにはカプセルや液体、グミにありがちな充塡物や添加物がない。さらに栄養素を殺してしまう可能性のある消化管を避け、そのまま血流に流すことができる。また容易に剝がせるため、利用者は不要になったらすぐにパッチを外すことができる。
パッチ以外にもスプレーやクリーム、バームなど、外出先でも手軽に使える外用サプリが注目されている。しかし、プロバイオティクスやコラーゲンをはじめ、皮膚からの摂取に適していない成分もあるので注意が必要だ。また、一日中貼ったままにしても肌を刺激しないことや、パッチの効果について適切な研究がなされているかを消費者は見極めなくてはならない。