2025年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京」が終わりました。みなさまはどのような印象でしたでしょうか。個人的には、今シーズンは参加ブランド数の少なさは感じつつも、アジア圏のブランド招聘と、関連イベントで盛り上げようとする意気込みは感じました。コレクションの傾向は9月16日号に向けてまとめているので、ここでは東コレの裏側について触れさせてください。最も大きな変化を感じたのは、運営チームの若返りでした。ここ数シーズンのショーの現場で徐々に感じてはいましたが、今回はさらに強く実感しました。
まず、コレクション事業実行委員会に30代、40代前半の若いメンバーが加わった成果が出始めています。きっと、1985年生まれの今城薫・日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)ディレクターが現職に就いた2019年から思い描いていたことなのでしょう。若手メンバーを起点に、これまで取材するのみだったメディア関係者やフリーランスのエディター・ライターが運営サイドに関わり、東コレに関連する制作物やアワード、オフィシャルのリポートなどを担当しています。
それぞれの深い視点はもちろん、同世代のフォトグラファーやスタイリストら、クリエイターをコンテンツやショーに巻き込んでいるのもとてもいい流れです。東コレとクリエイターは近いようで遠い印象だったので、“かゆいところに手が届く”変化は大きな成果でしょう。実行委員会は若手と大先輩的な組織体制でお互いに簡単ではないとは思いますが、ベテランの経験と、若手ならではの視野が融合すればいい方向に向かうと確信しています。
変わる覚悟、見守る忍耐
そして、ショー会場を仕切るPRチームが連合軍化しているのも主流になってきました。記憶では、17年3月の「ダブレット(DOUBLET)」17-18年秋冬のショーから中小規模のPRとフリーランスPR同士が連携してチームを組む動きが出始めたはず。それまでは、1つのショーに対して大手PRエージェンシー1社がつくのが当たり前だったので、PR同士が“連合軍化”する動きはとても新鮮でした。コロナ禍を経て、連合軍は主流になりつつあります。プロジェクトによって柔軟にチームを編成し、解散し、また新しいチームを編成する。まさに、令和の新しい働き方象徴する変化です。
PRが世代交代すれば、われわれのように招かれるゲストも緊張感を持たないといけません。PR連合軍は、ブランドにとってメリットがあるかどうかをかなりシビアに見ています。個人的にも、ゲストを肩書きや経験より、今のブランドにビジネス的なメリットがあるかどうかで選定するのは大歓迎です。ブランドはショー予算に500万〜1000万円近くかけるわけですから、呼ばれて当たり前、フロントローに座れて当たり前ではありません。
招待される私たちは、最前線に立つならば、参加するデザイナーと同じ目線で熱量を持てるかどうかも大切です。自分自身も東コレ取材を2016年から8年間続け、ときにはデザイナーやJFWOとぶつかりながら、数多くの忘れられない瞬間をリポートすることができました。ショーや運営に対し、海外の主要都市のファッション・ウイークと比較してどうか、という意見は当然あります。しかし、その比較は本当に意味があるのでしょうか。自分自身もそのような視点で見ていた時期があり、他のローカルなファッション・ウイークを取材したからこそ、まずは地元で熱狂を生み出す大切さを実感しています。デザイナーも、バイヤーも、メディアも、若い世代が育っています。オトナの意見ももちろん大切ですが、地元の熱狂を生み出すには、まずは次世代が共に切磋琢磨し、成長していくことが大事だとも思うのです。そして何より、継続すること。これからも、東コレの発展を願っています。
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