※この記事は2021年03月01日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
出店が1クリックで決まる百貨店
ショーフィールズが東京に進出だそうです。先週、ルミネと米「WWD」が共催したオンラインセミナーでタル・ズヴィ・ナサネル共同創業者兼最高経営責任者(CEO)が明らかにしました。
ショーフィールズについては、「D2Cブランドが自由に出入りする、蚤の市の責任者みたいな存在でしょ?」と勝手に思っていましたが(当たらずとも遠からずではあります)、実際はもっとスゴいことになっていました。出店してほしいD2Cに招待メールを送った後は、契約書の締結も、取引口座の開設も1クリック!!「なんて機械的なオペレーションなんだ!」と思うアナタは大間違い。D2Cブランドの創業者は、デジタルネイティブ世代。「リアル店舗の運営さえ、EC同様にできるハズ」と考える出店者側のニーズに即しているのです。無論、日々の売り上げや、消費者の店舗での滞在時間、“インプレッションやエンゲージメント”(リアル店舗のインプやエンゲージメントとは何で、それらはどうやって測定するのかしら?)などの“日報”もオールデジタル。コロナ禍の今は、店舗の商品をデジタルの世界で深く知ったり、店舗に来たのにデジタルで接客を受けたりのサービスもあるそうで、「コレぞ、まさにOMOだ!」と感じました。
もう一つ「へぇ」と思ったのは、いざ出店が決まると、200人以上の外部アーティストから担当者をアサインして、店舗デザインを進めるという点。「思い入れは人一倍であるべき店舗デザインを、ブランドは、知らないかもしれないアーティストに任せちゃうの?」なんて一瞬心配しましたが、今の若い世代は、そんなセレンデピティ(偶然の出会い)を楽しんでくれそうですね。よくよく考えれば、これまでも実店舗のオープンに際しては「ツテをたどって、建築家を紹介してもらう」なんて事例は数多く、そんなに変わらないのかもしれません。
そして、そんなセレンデピティから生まれた店舗は、当然独自性が光り、何よりそんなストーリーが面白いから若年層の共感を誘ってSNS投稿につながっているそう。ん~、ショーフィールズ、完璧なエコシステムであります。
ショーフィールズは、“新時代のデパート”と言われています。しがらみも多く、デジタル化も道半ばで、ブランドのトンマナに縛られがちゆえ独自性を表現するのは難しい、何より正直「誰もソンしない」エコシステムが循環しているのかについては「?」と思うことも時々の百貨店は、どう対抗するのでしょうか?ショーフィールズの日本上陸は、百貨店業界における”黒船来航”みたいになるのでしょうか?
日本の百貨店業界から、渋沢栄一のような人材が現れたら!!「青天を衝け」のペリー来航のシーンを見て、そんなことを考えました。大河ドラマ、私はオープニングが時代の移り変わりを示しており大好きです(笑)。
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