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パリコレで見た“日本らしい光景” コレクション・バックステージ録

 2009年から「WWDジャパン」のバックステージ・フォトグラファーとして海外コレクションを撮影する景山郁が、現場で見た最新トレンドや業界ルール、珍事件などを紹介します。世界でも限られた媒体やフォトグラファーのみが入場を許されるファッションショーの舞台裏での出来事をお届け!

今回のテーマ:
小さな配慮がいき届く日本ブランド

 日本発ブランド「アンリアレイジ(ANREALAGE)」のパリコレのバックステージでの話。フィッティングスペースで、他ブランドでは見かけた事のない白いシートが足元に敷かれていました。これは恐らく、モデルが靴を脱いだり着替えたりする際に靴下が汚れたり、ボトムスの裾が汚れたりするのを避けるためだと思います。リハーサル後にはスタッフたちが一生懸命、そのシートについたほこりをテープで取っていました。そんな細かいところにも気を使う、とても日本らしい光景だと思いました。

 欧米では靴を履いたまま試着室や家に入る文化があり、人によっては靴を履いたままソファーやベッドに寝そべったりする人もいるので、この「アンリアレイジ」のシートの発想はなかなかないと思います。あるとしても床を拭くことくらいでしょうか。また「アンリアレジ」のバックステージには細かな指示が入ったルック写真や、モデルの動き方を示した図などが掲示してあり、あらゆる部分に細かい配慮がされています。こういう小さな事でも徹底することは大事だと思います。

 話は少し逸れますが、今季初めて「アンリアレジ」の撮影に入ったフォトグラファーがオンタイムにファッションショーがスタートしなかったことについて「おかしい、日本人なのに時間通りに始めないなんて」と一言。私は「それはブランド側の意向でなく、来場者が会場に時間通りに来ないから」と伝えました。忙しい来場者たちは、ほとんどのショーが時間通りに始まるとそもそも思っていないのです。「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」はオンタイムにショーを始めるポリシーを持っているのでそういった例外もありますが。

 しかし、特殊な演出を仕掛けたり、モデルが遅刻して来ない限りは、日本ブランドはオンタイムで開始出来るくらいの完璧なスケジューリングをしている場合が多いと感じます。

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている

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