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ジジ・ハディッドの人気の秘訣は礼儀正しさ!? コレクション・バックステージ録

 2009年から「WWDジャパン」のバックステージ・フォトグラファーとして海外コレクションを撮影する景山郁が、現場で見た最新トレンドや業界ルール、珍事件などを紹介します。世界でも限られた媒体やフォトグラファーのみが入場を許されるファッションショーの舞台裏での出来事をお届け!

今回のテーマ:売れっ子モデルの秘密はマナーにあり

 今日は売れっ子モデルのジジ・ハディッド(Gigi Hadid)についての裏話です。ジジは以前、お騒がせリポーターのヴィタリ・セディウク(Vitalii Sediuk)に出待ちされ、いきなり抱きかかえられるという事件が起きて以来、全てのショーに個人用SP(ボディーガード)が同行しています。妹のベラ(Bella Hadid)も同様です。

※ヴィタリ・セディウク…ウクライナ人のセレブリティーリポーターでいたずらの常習犯。被害者はマドンナ、ウィル・スミス、アデルらまでに及び、ブラッド・ピットを襲ったことによる逮捕歴もあり

 バックステージへの入場は厳密なパスのチェックがあるので、私の経験上では変質者が潜り込んでいることを目撃したことはありません。私はカメラマンとして入場しているため、モデルを撮影することが仕事なのですが、ハディッド姉妹の撮影は制限されています。ヘアやメイク中も基本的にNG(広告モデルなどを務めている化粧品ブランドなどがある商業的なニューヨーク・コレクションは例外)。一度、ヘアメイクを記録するためにジジの後頭部を撮影しようと近づいたら、ジジのSPが近づいてきて「おい、写真はだめだ!」と注意された経験もあります。私は「顔は写さないよ?後頭部だけでもダメ?」と聞くと「ダメだ。近づくな!」の一点張りでした。

 今季「プラダ」のバックステージへファッションジャーナリストの藪野淳さんと取材に入りました。注目モデルのインタビューのため、どのモデルに話しかけるか相談していたところにジジを発見!藪野さんはジジの隣の男性スタッフを気にされたのですが、私はその方がSPではないことを確認するなり、話しかけることを提案しました。

 藪野さんが恐る恐るジジに話しかけると、「ハロー!私はバックステージではインタビューには答えないの。ごめんね。良い一日を過ごしてね!」と笑顔で返答。インタビューはできませんでしたが、ジジの丁寧な対応に「何て丁寧な断り方。やはり育ちが違うね」と私たちは感動したのでした。

 他にも育ちの良さを感じさせるモデルがいます。往年のスーパーモデル、パット・クリーブランド(Pat Cleveland)の娘、アナ・クリーブランド(Anna Cleveland)です。アートのような美しい表現力を持っているのですが、撮影後には自らお礼の言葉をくれる丁寧な対応も素晴らしいのです。私も藪野さんも彼女のファンです。ジジとアナに共通しているのは、母娘の二世代モデルというところ。彼女たちの身につけているマナーは、きっとお母さまたちのアドバイスによるものかもしれませんね。スタッフ受けがいいというのも、売れっ子の秘訣なのかもしれません。

景山郁:フリーランス・フォトグラファー。2003年からフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。07年に渡米、09年より拠点をパリに移す。10年から「WWDジャパン」でパリ、ミラノなどの海外コレクションのバックステージと展示会などの撮影を担当。コレクション以外にもポートレート、旅やカルチャーなどエディトリアル、広告を手掛ける。プライベートでは動物と環境に配慮した生活をモットーにしている