ビューティ

2026年春夏NYコレのヘアメイクはマキシマリズムな気分 ファンタジーなアイラッシュが席巻

9月11~16日に開催された2026年春夏シーズンのニューヨーク·ファッション·ウィーク(NYFW)のヘアメイクは、実用的で都会的なリアルクローズが主流となっているファッションに対して、ミニマリズムの逆をゆく色や素材の足し算で遊ぶマキシマリズムな気分が高まっていた。カラフルなアイラッシュや鼻筋までのびたアイシャドウ、グリッターやゴールドをのせた目元、ヘアもビクトリーロールや人工毛で制作したヘッドピースなど、装飾的な要素も目立った。

ULLA JOHNSON
煌めくゴールドでまつ毛を装飾

今季の「ウラ ジョンソン(ULLA JOHNSON)」は、アメリカ人抽象画家ヘレン・フランケンサーラー(Helen Frankenthaler)による“Western Dream”など3つの作品から着想を得た色彩豊かなコレクションを披露した。メイクはロミー·ソールイマニ(Romy Soleimani)が手掛け、水彩画のような透け感を落とし込んだルックと同様に、みずみずしさとシアー感を重視。上下のまつ毛を金色にあしらい、ゴールドを多用したコレクションの世界観を引き立てた。「これはまつ毛にも“ゴールドのジュエリー”をあしらうというアイデアなの」と話し、「シスレー(SISLEY)」のアイシャドウ“フィト オンブル エクラ グロウ ゴールド”を削り取り、パウダーを液状に変化させるミキシングメディウムと混ぜると、扇形ブラシでまつ毛に何度も重ねながら塗り固めていった。また、アイシャドウはパステルブルーとローズの2色をモデルによって使い分け、まぶたの中央から眉尻に向かって無造作にオン。頬とリップはクリームタイプのスティックチークでほんのりオレンジに色付け、デザイナーのメッセージである生命の歓喜をメイクで表現した。

ヘアのリードはディエゴ·ダ·シルバ(Diego Da Silva)。それぞれの癖毛を活かしたナチュラルなカールヘアを施し、「ウエラ プロフェッショナル(WELLA PROFESSIONALS)」の“EIMI シュガー リフト スプレー”でドライすぎないテクスチャーを演出した。

ANNA SUI
ドリーミーなマーメイドアイとレトロなヘア

20世紀の芸術家たちの避難所であったタオスの牧場やセドナの夕暮れに触発された「アナ スイ(ANNA SUI)」のコレクションでは、“Desert Bloon(砂漠の花)”をテーマにした1960年代のボヘミアンスタイルが登場した。そんなルックをガーリーなボーホードールに昇華させたのが、目が覚めるようなアイシートーンのマーメイドアイメイクと、ビクトリア朝を思わせるレトロなヘアだ。ライトブルーとパステルパープルのグラデーションが印象的なアイメイクはパット·マクグラス(Pat McGrath)が手掛け、発色を最大限に引き出すためにクリームカラーでベースを作ったあと、その上からアイシャドウ、さらに「パット・マクグラス ラボ(PAT MCGRATH LABS)」の新作パレット“ギルデッド ニルバーナ”で同色のグリッターを重ねた。まつ毛もカラーマスカラでビビッドなアクアブルーに統一。あえてリップやチークにはフューシャピンクを差し込み、ロマンティックで幽玄なルックを完成させた。

ヘアを手掛けたのは大御所スタイリストのギャレン(Garren)だ。ブロッキングした毛束をそれぞれトップで丸め、ツインビクトリーロールを作り上げた。一方で中間はラフに巻いておろしており、「ロングヘアの自然な質感と、砂漠の風に吹かれたようなざらざらした粗さを表現したかった」と話した。

COLLINA STRADA
野生感じる猫風ノーズシャドウ

コリーナ ストラーダ(COLLINA STRADA)」は、混沌の時代へのメッセージとして“影”と題したコレクションを発表し、男女モデル混合のランウェイショーを行った。炎天下のバックステージの中、メイクをリードしたイサマヤ·フレンチ(Isamaya Ffrench)は、ピンク、ブルー、クリーム、ゴールドといったカラーアイシャドウを眉頭から鼻筋にかけて大きく鋭角に入れた。猫のような動物的要素をメイクに忍ばせ、動物愛護やサステナビリティを掲げる同ブランドとの親和性を表現した。さらに「ラシファイ(LASHIFY)」と共同で制作したカラーラッシュエクステンションのウィングチップを、目尻のポイントとなるよう数束装着。6つのカラーパターンの中から、着用するルックによって同色、もしくは相対色の組み合わせが充てられ、「補完と対比を演出した」という。メンズモデルにも同様のメイクが施された。

ムスタファ·ヤナズ(Mustafa Yanaz)が手掛けた、キャップやビーニー(ツバのないニット帽)とヘアが一体化した奇抜なヘルメット型ヘッドピースも存在感を放った。キャップは、合成ヘアで帽子を覆ってからツバの形が固定されるようスプレーで固め、ビーニーはかぎ針でヘアを一つ一つ編み込み、パステルカラーで着色した。「(デザイナーの)ヒラリーから『ヘアで帽子を作ってみない?』と冗談まじりに言われたんだ。僕は『いいね、やろう』と答えた。素晴らしいアイデアだったけど、制作準備には2カ月もかかって大変だったよ」と明かした。

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