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2020年春夏の新トレンド“ヴィクトリアン”を先取り! “姫ワンピース”はロンドン女子がお手本

 古風な英国“ヴィクトリアン”のムードが盛り上がったのは、2020年春夏ロンドン・ファッション・ウイークの目立った新傾向でした。ショー会場に現れたファッショニスタたちもこの動きを先取り。フリルやロング丈が特徴の“姫ワンピース”をまとっていました。英国から火がついたヴィクトリアンは、来春夏の大きなトレンドに育ちそうな予感があります。

 英国ブランドの「アーデム(ERDEM)」は2020年春夏のショーで、クラシックなワンピースを繰り返し披露しました。レディーライクがトレンドの今、その起源を時代的にさかのぼるのは自然な流れです。ヴィクトリアンはヴィクトリア女王が在位した1837~1901年当時のファッションを指します。フリルや刺しゅう、レースを施した装飾のほか、コルセットで絞ったウエスト、腰周りを膨らませたロングスカートなどが象徴的で、現代のゴシックロリータに通じる装いです。

 でも、当時の装飾性をそのままワンピースに落とし込むのでは、リアリティーがありません。フェミニンが過剰になるのを避けて、ヴィクトリアンをモダンにアレンジするのが20年春夏の着こなし方です。一足早くヴィクトリアンを自分流にスタイリングしていた来場者のコーディネートには、ロンドンらしいウィットがあふれていました。トレンドを先取りの彼女たちのスタイルを見ていきましょう。

お嬢さまとダンディーを
クロスオーバー

 襟や裾をフリルやラッフルで飾るのは、ヴィクトリアンの象徴的な演出です。ロマンティックな花柄で彩られたマキシ丈ワンピース、その上からダブルブレストのテーラードジャケットを羽織ってマニッシュに締めるのは、鉄板の合わせ技です。姫ワンピースを自分のものにするには、まずこのコーディネートが入門編として取り入れやすいでしょう。写真の女性はヘアピンを添えてトレンド感をアップ。足元にはトラッドなローファーを合わせて、お嬢さまテイストをハズすのが今の気分です。

前開けと袖まくりで“こなれ感”演出

 布をたっぷり使ったマキシ丈ワンピースは“姫感”もマックス。シャツワンピースは正面を全部開けられるので、この写真の女性のようなスリット風の見せ方も可能です。堂々とした脚見せは、凜々しいワンピース姿に導いてくれます。裾からのぞかせたのは、レースアップのコンバットブーツ。さらにテーラードジャケットを重ねることで、女っぽさを薄めています。たくし上げたジャケットの袖先からワンピースの袖を見せて、ラフに着崩しました。華やかなドレスをデイリー使いするときのお手本になりそうです。

ジャケット × ブーツで凜々しく

 ヴィクトリアンムードを取り入れるときは、ロマンティックになり過ぎないよう、ジャケットとブーツといったクールなアイテムで全体を整えるのがこなれた雰囲気に仕上げるコツです。この写真の女性はロング丈のブラウスとスカートのコーディネートですが、ワンピースのようにも見える着こなしです。これはワンピース見えするセットアップなどでも使える手です。ノーカラーのジャケットを重ねることで、きりっと感をプラス。ロングブーツで脚を隠す小技は今秋冬にヒットする兆しが見えています。

紳士とストリートの逆ムードを
サンドイッチ

 裾のフリルが愛らしいコットンワンピースは、ノスタルジックな雰囲気です。淡いグリーンも夢見心地の甘口テイスト。だから、スイートになり過ぎないよう、チェック柄のジャケットで英国トラッド調のスパイスを投入しました。さらに、ダッドスニーカーでストリートテイストもミックス。服のボリュームとスニーカーの量感は、チラリとのぞく足首を細く見せてくれる効果も発揮しています。甘め服にはこのような“上下サンドイッチ技”を使うと、狙い通りに印象をコントロールできます。

CPOジャケットとアウトドア靴で
甘さダウン

 ミリタリー由来の“CPOジャケット”をスタイリングに取り入れる、おしゃれ上手な女性が街に急増中です。CPOジャケットはシャツとジャケットの長所を兼ね備えているため、“シャケット”とも呼ばれています。ざっくりラフに着られるうえに、ちょっとした温度調節にも便利なアイテムです。風をはらむ薄手ワンピースははかなげなムードを帯びるので、過剰なガーリー感を遠ざけるうえでは“CPOジャケット”のようなミリタリー系ウエアとのマッチングが効果的。ごつめのトレッキングブーツもワンピースの甘さをトーンダウンしています。

 ヴィクトリアンな姫系ワンピースは、ロリータ感があって着るのをためらいがちですが、ロンドン女子を見習って異なるテイストをミックスすれば、大人も着こなしに取り入れやすくなります。クラシックの流れは20年春夏に向けてさらに勢いづいているので、姫系ワンピースもこれからどんどん人気が広がる気配。ロンドン流のテイストミックスで、着こなしレパートリーに加えてみては?

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い