9月29日、米フォーエバー21(FOREVER21)の経営破綻が世界を駆け巡った。ファストファッションの代表格として世界で800店舗以上を運営してきたが、消費者や市場の変化に対応できず、近年は失速していた。同社以外でも安さを売りにした業態の不振が国内外で目立つ。だが一方で、「ザラ(ZARA)」のインディテックス(INDITEX)、「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」のファーストリテイリングは勢力を伸ばしている。
【「フォーエバー21」の経営不振と撤退ドミノ】
米本社の経営破綻に至るまで、旗艦店の閉店、エリアでの大量閉店、中国や台湾からの撤退、日本からの撤退が相次いで発表され、Xデーがささやかれていた。
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「フォーエバー21」が破産法適用を申請 「北米の店舗は営業する予定」
・営業し続ける意向
・大型モールの不況やネットに勝てず
・日本からの撤退を発表したばかり
「フォーエバー21」が日本撤退 10月末で全14店舗とECを閉鎖
・2009年4月に日本上陸
・「H&M」とともにファストファッションブーム
・本国では破たん報道も
経営難の「フォーエバー21」が破産申請を検討か 米メディアが報道
・融資による525億円の債務がある
・ECの台頭や嗜好の変化で経営難
・中国市場からは完全撤退している
「フォーエバー21」が中国市場から完全撤退
・中国ECからは撤退済み
・中国の全店舗を閉店
・現地の激安店に敗北
「フォーエバー21」が中国ECから撤退 上海店は爆安セール中
・深圳の店舗は4月30日に閉鎖
・「Tモール」上などのストアも閉鎖
・2018年末から多数の店を閉鎖
「フォーエバー21」原宿店を閉鎖 日本1号店として2009年開店
・日本1号店で2360平方メートルの旗艦店
・低価格ファッションの競合激化
・ダイバーシティ、ららぽーと船橋も閉鎖していた
【米ギャップも苦戦
17年には日本の「オールドネイビー」事業から撤退】
2012年に日本に上陸した低価格業態「オールドネイビー」を17年に撤退した米ギャップ。その戦略も曲がり角に来ている。
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米「ギャップ」が230店閉店 「オールドネイビー」は独立企業に
・「ギャップ」は業績不振が続いている
・「オールドネイビー」は引き続き好調
・事業再編を好感して株価急伸
「ギャップ」が原宿の旗艦店を5月7日に閉店
・人件費や家賃などのコスト負担重く
・渋谷・原宿エリアから完全撤退
・「今後はECに投資」
「ギャップ」、各国の不採算店舗を大幅削減へ
・オンラインやアウトレットは好調
・全ブランド合計の店舗数は3218店
・「オールドネイビー」などにより増益
JPモルガンがギャップの株を格下げ 株価は5.79%減
・JPモルガンが19年12月の予想株価を下方修正
・外的要因も加わり事業回復に厳しい視線
・「オールドネイビー」に期待がかかる
「ギャップ」低迷も業績は増収 「オールドネイビー」がけん引
・2018年5~7月期
・ECは約16%増と好調
・膨大なデータ資産の活用を急ぐ
「ギャップ」「バナリパ」が200店舗削減へ 「オールドネイビー」は1兆円ブランドを目指す
・約800億円をデジタルに投資
・「ギャップ」「バナリパ」も見捨てない方針
・店舗閉鎖は「顧客のいる場所へ移動する」ため
ギャップが日本の「オールドネイビー」全53店舗を閉鎖へ
・2017年1月期中に閉鎖
・好調な北米を中心に店舗を整理する狙い
・閉鎖による今年度の売上高減は約270億円
【英「トップショップ」も赤字転落
日本からは15年に撤退】
2015年に日本事業から撤退した英「トップショップ」は、親会社のアルカディア・グループが経営再建中。
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経営難の英「トップショップ」親会社、18年は149億円の赤字に転落
・売上高は前期比4.5%減
・前期の純利益は189億円の黒字
・傘下ブランド売却の報道を否定
経営難の英「トップショップ」、米国は全店閉店か 米不動産会社が親会社の再建策に合意
・債権団は親会社の再建策を了承
・米不動産会社が反対していた
・合意によって再建策が進められる
英「トップショップ」親会社、破綻を免れる 大富豪オーナーの妻が私財を投入
・債権団が再建策に合意
・再建のため閉店や解雇などを行う
・「トップショップ」英旗艦店は継続
トップショップが中国のフランチャイズ契約を終了 80店舗目標に1店舗もオープンできず
・シャンピンとの契約を終了
・2014年9月に契約を締結
・中国本土で実店舗オープン目指していた
中国・山東如意が「トップショップ」親会社を買収か 中国企業による欧州ブランド買収の動きが活発に
・英「ザ・サンデー・タイムズ」が報じる
・両社は報道を否定
「トップショップ」が複数店舗を突然のクローズ
・新宿駅東口前の大型旗艦店など
・1月31日をもって突然クローズ
・ブランドからの正式な発表はない
【青山商事は「アメリカンイーグル」の国内事業を手放す】
青山商事は合弁会社を通じて展開する米カジュアル「アメリカンイーグル」の事業から撤退すると発表している。
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なぜ「アメリカンイーグル」を手放すのか 青山商事、スーツとアメカジの誤算
・青山商事が「アメリカンイーグル」の譲渡検討
・アメカジ不振で運営子会社の赤字が重荷に
・本業のビジネススーツも岐路に
青山商事が「アメリカンイーグル」事業から撤退へ
・期限の2022年2月を待たずに譲渡を検討
・事業は黒字化が遅れていた
・国内店舗は維持の方向
アメリカンイーグル、17年は増収減益 負債なしで1年を終える
・売上高約3900億円
・売上高は前期比5%増
・純利益は同4%減
【「ユニクロ」のファーストリテイリングは世界で出店攻勢】
「ユニクロ」は日本と海外の売上高が逆転。成熟したといわれる日本でも既存店売上高が7期連続で増収を達成する。
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ユニクロが今秋インド進出、一気に3店出店 中国に次ぐ稼ぎ頭に
・10月にニューデリーの高級モールに1号店を出店
・3フロアで売り場面積は3300平方メートル
・「インド市場に注力」と柳井正会長
ファストリ19年8月期第3四半期は増収増益 引き続き中国とジーユーが絶好調
・2018年9月から19年5月の売上収益は前年同期比7.0%増、営業利益は同3.7%増
・国内ユニクロ事業は減収減益
・19年8月期通期は引き続き最高業績を予想
ファストリ19年8月期上期は中国が絶好調でけん引 国内ユニクロ事業は暖冬で苦戦
・売上収益は前期比6.8%増、営業利益は同1.4%増
・国内は暖冬で売上総利益率が悪化
・中国本土は売上収益、営業利益ともに「約2割の伸び」
「ジーユー」が2年半ぶりに渋谷に店舗オープン 4店舗目の旗艦店
・3月15日オープン
・心斎橋店、銀座店、池袋東口店に続く旗艦店
・地下1階〜地上3階の4フロア
ユニクロが19年秋にイタリア初上陸 スタバ1号店の近くに出店
・コルドゥージオ広場に3層で出店
・イタリアは欧州で10カ国目の市場
・19年春にはデンマークにも進出
ファーストリテイリング売上高2兆円突破 海外ユニクロ事業が国内を逆転 18年8月期
・営業利益も海外ユニクロは国内と並ぶ
・「ザラ」や「H&M」を猛追
・国内ユニクロは既存店売上高同6.2%増
【「ザラ」のインディテックスは
ECとリアル店舗が相乗効果を発揮】
世界最大のカジュアル専門店企業であるインディテックスは、出店ペースを抑えながらも、EC拡大で成果を出す。
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小島健輔リポート 「ザラ」はなぜECを拡大しても店舗売り上げが伸びるのか
・ECが店舗売り上げに貢献する仕組み
・在庫を倉庫に置くか、店舗に置くか
・「ザラ」のクリック&コレクトの手法
「ザラ」の親会社、19年上期も増収増益 店舗数は2店減
・純利益が10%増の1800億円
・ECサイトを引き続き拡大中
・前年同期比で2店減
「ザラ」と「ザラ ホーム」統合へ インディテックス18年度は引き続き増収増益
・小規模店など1401店を閉鎖
・一等地にある店は売り場を拡大
・ECをさらに推進
「ザラ」が新グローバルECサイトをローンチ 新たに106の市場で購入可能に
・「ザラ」の全コレクションを取り扱う
・アフリカ諸国からも購入が可能に
・世界202市場に対応
「ザラ」のインディテックス18年上期は増収増益 店舗もECも充実させるカギとは?
下期の売り上げは4~6%増を見込む
2018-19年秋冬のコレクションは高評価
在庫の徹底管理でシーズンごとに売り切る
「ザラ」六本木店が移転・増床オープン 実店舗とECの融合をどう進める?
・売り場面積は1300平方メートル
・新生児用“ミニ”を扱うアジア初の店舗
・店頭タブレットでECに送客
「ザラ」を擁するインディテックス、17年度売上高は初の3兆円超え オンラインの売上高を初めて明かす
・2017年売上高約3兆3190億円
・店舗を最適化しオンラインとオフラインを統合
・EC売り上げは全体の10%
インディテックス上半期決算は増収増益 10月からインドでもECサイトをスタート
・ほぼ全ブランドで売上高2ケタ増
・インフラが脆弱なインドのECに期待
・オンラインとオフラインの融合
インディテックスの2016年度の売上高は2兆8438億円
・既存店売上高も10%増
・スタッフのボーナスアップ
・サスティナビリティに1707億円
ザラ新宿店が増床オープン 全コレクションがそろう旗艦店に
・地下1階を加えた3層構造
・店舗面積は2300平方メートル
・買いたくなる仕掛けが充実
インディテックスの2016年度上半期は増収増益
・ライバルを上回る2ケタ成長を記録
・ホームを含む「ザラ」がけん引
・オンラインを拡大。実店舗の出店はペースダウン