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ギャップCEOが「体制は整った」 とはいえ改革は道半ば、「アスレタ」の成長に期待

 アメリカのアパレル企業ギャップ(GAP)のソニア・シンガル(Sonia Syngal)最高経営責任者(CEO)は株主総会で、「2年の変革期を経て、私たちはより本業に専念できる体制を整えることができた」と語った。今後、傘下の「オールドネイビー(OLD NAVY)」と「ギャップ」、そして「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」は、変化に機敏に対応することで長期的な成長を目指す。

 長きに渡る変革期の間、同社は「ギャップ」と「バナナ・リパブリック」の不採算店舗を整理し、セレクトショップの「インターミックス(INTERMIX)」やバッグ&シューズの「パイパーライム(PIPERLIME)」などの非主力事業を終了してきた。シンガルCEOは昨年の成果として売上高が前年に比べて21%、コロナ前の2019年と比較しても2%アップしたとコメント。オンラインでの売上高は全体の39%を占める約64億ドル(約8256億円)に上ったほか、ロイヤリティー・プログラムの会員数が上昇、4億ドル(約516億円)を配当として投資家に還元したほか、株式の買い戻しを進めたことも成果とした。

 ブランド別では、「オールドネイビー」の売上高は90億ドル(約1兆1610億円)を突破。「ギャップ」は、ホームラインの販売をウォルマート(WALMART)で開始したほか、カニエ・ウェスト(Kanye West)改めイェ(Ye)が手掛ける「イージー(YEEZY)」とのコラボレーションライン“イージー・ギャップ”も人気だった。北米での売り上げは、19年の実績を上回ったという。「アスレタ(ATHLETA)」は、米体操選手のシモーン・バイルズ(Simone Biles)や陸上選手のアリソン・フェリックス(Allyson Felix)、歌手のアリシア・キース(Alicia Keys)とのコラボラインなどで「女性との対話が加速し、エンパワーメントしている」という。

 地域別では今後、フランスとイタリア、イギリスでのビジネス改革を進める。ギャップは昨年、英国で81の「ギャップ」店舗とアウトレットをクローズした他、「バナナ・リパブリック」はアイルランドから撤退した(ECは継続)。一方、昨秋には英国のアパレル企業ネクストと、イギリスとアイルランドにおける「ギャップ」のビジネスを再構築するジョイントベンチャーを立ち上げている。

 とはいえ、課題も多い。サプライチェーン改革は引き続き、店舗網を削減した「ギャップ」や「バナナ・リパブリック」にとっては1着あたりの空輸コストは重たくなる。プロパー販売を軌道に乗せるという至上命題は、まだまだ道半ばだ。セールに依存した「ギャップ」は、22年度の第一四半期での売上高の見通しを「1ケタ~10%台中盤の減収」と予想を引き下げている。「オールドネイビー」の売上もセールによる側面も大きく、先月にはナンシー・グリーン(Nancy Green)社長兼CEOが退任したばかり。会社は後任を探しており、暫定的にソニアCEOがビジネスを統括している。このため大手格付け会社は今年、ギャップの株を相次いで格下げしたが、モルガン・スタンレー(MORGANSTANLEY)は同社の格付けを「アンダーウエート(投資対象の組み入れ比率が基準と比べて少ないため、売りを推奨している)」から「イコールウエート」に格上げ。とはいえ、「引き続き改革が必要」と指摘している。

 会社はさらに店舗の統廃合を進める予定だ。24年までには北米で「ギャップ」と「バナナ・リパブリック」の店舗をさらに100閉じる予定で、同地域で閉店する店舗は総計350に及ぶ。一方「アスレタ」は、好調を維持している。23年までに20億ドル(約2580億円)規模に成長する見通しだ。

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